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「眠られぬ夜のために 第一部」ヒルティ(Carl Hilty)著・草間平作・大和邦太郎 訳 著
書籍名 タイトル | 眠られぬ夜のために 第一部 |
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著者 | ヒルティ(Carl Hilty)著・草間平作・大和邦太郎 訳 |
出版社 | 岩波文庫、岩波書店 |
印象に残った言葉や文章
たえず有益な仕事をせよ
たえずなにか有益な仕事をし、あせったり、心配したりしないこと。
またわれわれが出会う事柄やわれわれの気分を、つねにみずから支配し、決してそれらに支配されないこと。(p29)
善いこと、正しいことなし得るか
あなたが(今おそらくそうであるように)「どうしたらすばらしい、愉快なことが楽しめるか」を問うかわりに、「今どんな善いこと、正しいことをなし得るか」をたずね、あるいは、この究極の目的のためにどのように自分の状態を改めたらよいかを絶えず問うことに、あなたの全思考を向けているならば──あなたが住むこの世界について、全く違った、より満足すべき観念が得られるであろう。そして、およそ「生きる」とはどういうことであるかが、初めて本当にわかるであろう。(p30)
確信は実現に劣らぬ
あるものを取得できるという確信、固い信仰は、すでに得られた所有にほとんど劣らぬものである。(p37)
前を見よ!ふりかえることは無益!
うしろを見ないで、つねに前方を見なさい。最後には、この世の命をこえてかなたを見なさい。あとをふりかえるのはなんの益にもならない。(p42)
克服か、屈服か
人生はたえざる克服か、もしくは屈服である。地上においては、いかなる人間にもそれ以外の道はありえない。(p46)
悪い読書
悪い読書は、よくない交際よりも危険である。(p47)
朝起きて、最初の考え
朝、目ざめると同時にまっ先きに意識にのぼる考えが何であるかは、非常に大切である。その時あなたは普段さまざまな偶然の原因から起るその時どきの「気分」に身をまかせるか、それともあなたの生活の手綱をしっかり自分で握るつもりだろうか。今日もまたさっそく、目さきの心配や苦労から始めるか、それとも新しい命の朝に対する感謝から始めるか。神との結びつきを新たにしようとするか、それとも、自分だけの力で「生存競争」を再開するつもりだろうか。どちらにするかで、その日の運命は決まるのである。(p51)
おそれは要注意!
おそれは、つねに、なにか正しくないことのしるしである。その正しくないものを探し出して徹底的に克服しなさい。そうすれば、おそれは苦しいものではなく、むしろ正しい生活への道しるべである。(p52)
愛のない人と
愛のない人としきりに交わるのは、魂をそこなうものである。だから、やむをえない場合は、むしろ交際をへらすか、それとも全くそれを絶つべきである。(p59)
批判することをやめよ
こころみに、しばらく批判することをすっかりやめてみなさい。そして、いたるところで力のかぎり、すべて善きものをはげまし、かつ支持するようにし、卑俗なものや悪いものを下らぬものかつほろび去るものとして無視しなさい。そうすれば、前よりも満足な生活に入ることができよう。実にしばしば、まさにこの点に一切がかかっているのである。(p67)
みずからすすんで働く
大多数の人間は働くことをたえず避け、自分の労働の結果の代りに、資本の蓄積や縁故関係や気楽な社会的地位など、つまり自分のためになされる他人の努力によって、その埋め合わせをしようとする。しかしその場合、彼らは、自分で働くよりも仕合せになるわけではなく、むしろはるかに人に従属することになる。いちはやくこの道理を十分にさとって、みずからすすんで働く生活を選び、それによってこの世における唯一の自由な人間となるものは、きわめて少ない。(p69)
自分の生活から無用なものを遠ざける
自分の生活からすべて無用なものを遠ざけ始めると⸺なにかひとかどのことをやろうとすれば、ぜひともこのことから始めなければならない⸺そのあとに、ただ仕事で埋めるほかないような、生活の空白が生じる。多くの人はこのことを本能的に感じているが、彼らは仕事に熱意を持ちえないので、あるいは持ちたくないので、この第一歩をふみ出すことをおそれて、むしろ世間なみの昔ながらの道にとどまっている。(p69-p70)
人生の幸福は
人生の幸福は、困難に出会うことが少ないとか、全くないとかいいうことにあるのではなくて、むしろあらゆる困難と戦って輝かしい勝利をおさめることにある。力というものは、弱点にうち勝つ習練から生じるのである。(p70)
ひとから受けた不正
ひとから受けた不正をいつまでも思いつづけることはつねに有害であり、そのうえたいていは無益でもある。そういう考えをいそいで払いのけて、そのために元気を失わないようにするのが、一番よいことである。(p78)
自分では気がすすまぬながらも
私のこれまでの生活で、自分では気がすすまぬながらも、他からつよく促されて行ったことは、ほとんどつねによい結果をみたが、自分の発意で着手し、自分ではよいと思ったことは、一向によかったためしがない。(p79)
急速な内的進歩は
急速な内的進歩は、激しい魂の震撼によってのみ行われる。だから内的進歩を願うならば、魂の震撼をあまりに恐れてはならない。(p81)
誠実
人間のあらゆる性質のなかで、最良のものは誠実である。この性質は、ほかのどんな性質の不足をも補うことができるが、この性質が欠けているとき、それをほかのもので補うわけにはいかない。(p82)
夢は
夢は、ある人の主な生活内容をなすものが何であるかを示す目印である。夢がただ肉体的な事柄だけにかぎられず、もっと精神的になりはじめたら、それはよい徴候である。(p89)
最も良い、最も心を満たしてくれるもの
力の許すかぎり、中絶せずに有益な仕事をすることは、たえず神の近くにあることと並んで、およそ人生が与えうる一切のうちで、最も良い、最も心を満たしてくれるものである。(p92)
ものごとの感じ方
どんな幸福な生活にも数多く起る試煉や心労を、堪えがたい重荷だと考えるか、それとも自分の生活原則を実行し修練するために、神から授けられた機会だと見るかは、ものごとの感じ方として大きな相違である。そして結局、この感じ方次第ですべてが決まるのである。(p96)
信仰は一つの幸福
信仰は、それ自体すでに一つの幸福である。あるものをやがて手に入れることができるという十分な確信は、観賞している樹の花のようなものであって、あとで手にとって食べる果実よりも、真に人間の心の理想的要求にかなうものである。(p101)
あらゆる幸福感のなかで最も美しい瞬間
あらゆる幸福感のなかで最も美しい瞬間は、所有の瞬間ではなくて、それに先立つ瞬間、すなわち、願望の実現が近づいて、すでに確実に見えはじめる時である。(p102)
毎朝、まず目をさましたら
毎朝、まず目をさましたらすぐに、今日も善を行う新しい機会が与えられたことに対して、神に感謝しなさい。そして一日じゅう、その機会をのがさぬように眼を大きく見開いていなさい。(p103)
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