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『愛の無常について』亀井勝一郎 著
書籍名 タイトル | 愛の無常について |
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著者 | 亀井勝一郎 |
出版社 | 講談社 |
印象に残った言葉や文章
読書は邂逅
たとえば読書とは、一種の邂逅であります。書を通して、心と心がふれあったならば、すでに肉体の滅び去った古人は、或は見知らぬ人とさえ友情が結ばれる。(p24-25)
良き師とは
「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ」という言葉があります。良き師とは、自分の得たかぎりの知識体験を教える人ではなく、自分の求めて求めあぐんでいるところを明らかにして、この道を究めようという、迷いへの誘惑者であります。(p25)
人間の言葉は二種類
窮極において、人間の言葉には二種類しかないということ。即ち愛の言葉と死の間際の言葉、相聞と辞世であります。(p29)
死の自覚
人間生成は、必ず死の自覚を伴う。そこに人間たることの特色があると言ってよいでしょう。(p30)
自己を自覚する
人間として自己を自覚するとは、自己の有限性を自覚するこであります。人間は、必ず死ぬべきものと定められている。不可避の運命です。(p30)
今死んで悔いはないか
今死んで、果たして悔いがないかどうか。こゝに人間の、生の名にあたいするものが成立するわけです。(p32)
死は生を照明する
死に対する想像力は、生に対する現実的観察の原動力とならなければならぬと私は思うのです。死は生を照明します。(p32)
生とは未完の死
死とは、厳粛に考えるならば、我ら人間がそれへ向って成熟して行かねばならぬ一種の「完成」とも云えます。一人間の完成とは死。生とは未完の死。(p33)
邂逅の秘訣
邂逅はあくまで一対一でなければならぬ。そしてたったいま生れたという始原の思いがそこになければなりませぬ。はじめて会うのです。この後幾たび会っても、はじめて会ったときのごとく会うこと、これが邂逅の秘訣です。(p38)
死に向って成熟して行くべき
臨終において人間はみな孤独であります。唯ひとり切断されて行くという意味からばかりでなく、自己の全生涯に対して孤独となる。果そうとして果しえなかった自己の念願に対して、最後の寂寥が訪れて来るのです。故に、それを生の刹那刹那において味い、生そのものをこれに慣らすように仕向け、死に向って成熟して行くべきだと思うのです。(p74)
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