「初歩」という言葉があります。
普段の生活ではあまり使いませんが、文字を媒体とした新聞などでは、目にする機会は多いかと思います。
書いて字のごとく、初めの歩みを表しますが、ここでは「初歩」という言葉の意味や、正しい使い方、間違った使い方を始めとして、「初歩」の類義語や慣用句、英語や中国語でどう表すのか、紹介していきます。
目次
初歩の読み方
まずは「初歩」の読み方を説明をします。「初歩」は「しょほ」と読み、「はじ(めて)」などの「初」と、「ある(く)」などの「歩」が合わさった言葉です。
「初」は「うい」や「はつ」とも訓読みし、「初」は「衣」と「刀」の象形になります。これは刀による衣類の裁断を意味しており、裁断の作業が衣類を作るとき、手始めに当たるので、「初」は「はじめ」の意味合いを持っています。「歩」も象形で、こちらは左右の足跡を表しています。
初歩の意味について
次に「初歩」の意味を解説します。「初歩」とは学問や技術、芸などの、学びはじめにおける段階を表します。
赤ん坊などが「初めて歩いた」という意味合いではなくて、あくまでも物事における、はじめの段階です。「初め」には「始め」という似た意味を持つ言葉がありますが、「初め」は時間などに関しての物事で使われます。つまり「初歩」とは物事の学びはじめにおいて、知識的にも技術的にも時間的にも、最初の段階という意味です。
初歩の正しい使い方
「初歩」の正しい使い方や、間違った使い方を紹介します。
上記の通り、「初歩」とは何らかの物事を学ぶ際の、はじめの段階を表す言葉です。
学問にしても技術にしても芸事にしても、学びはじめの段階が「初歩」となります。たとえ熟練者であっても、また1から学び直すことを「初歩からやり直す」と言うので、人に対してではなく、その物事の段階に対して使うのが正しいです。「物理学の初歩」であれば、物理学におけるはじめの段階であり、基礎とも言えます。
初歩の間違った使い方
「初歩」の間違った使い方を紹介します。
知識が不足している人や、技術が未熟な人に対して、「彼は初歩だ」という使い方は間違いです。その場合、「彼は初歩を学ぶべきだ」だとか、「彼は初歩で躓いている」という使い方になります。「初歩」は段階を示す言葉なので、「初歩」の対象は人ではなく、学問や技術といった物事になります。
他にはその分野における熟練者や専門家に、「彼は今、初歩を学んでいる」というのも間違いです。熟練や専門と呼ばれる段階に達したのなら、既に初歩の段階は越えています。
初歩を使った例文
「初歩」という言葉を使って、会話形式での例文を二つほど紹介していきます。
「初歩」は状況や言い方、自分と相手の立場の違いによって、良い意味にも悪い意味にもなり得ます。
一方で何かを学ぶとき、「初歩」の段階は誰しもが通る道なので、そういった意味では使う機会が少ないとしても、馴染み深い概念だと言えるでしょう。
初歩の使い方【例文その①】
一つ目の例文は、師匠と弟子のやり取りです。
「〇〇さん、課題は終わりましたか?」
「終わりました。簡単でしたが、いつになったら次の段階にいけますか? 早く自分も師匠のような、卓越した芸を披露したいです」
「その為には、初歩が大切です。まずは初歩を、じっくりと学んでいきましょう」
まずは物事において、はじめの段階を学び、そこから派生して学んでいくのが一般的な方法です。「初歩」を学ばずに応用を学べば、混乱を招く原因になります。
初歩の使い方【例文その②】
二つ目の例文は、学校での、教師と生徒の会話です。
「〇〇くん、この応用問題を解いてください」
「すみません、分かりません」
「この問題が分からないのでしたら、〇〇くんは、初歩から学び直す必要がありますね」
この場合は教師が生徒に対し、知識や技量の不足、未熟さを指摘している形です。
自発的に「初歩から学び直します」と言えば、真面目な印象を受けますが、他人に「初歩から学び直しなさい」と言われれば、叱責や呆れのニュアンスを持つ場合があります。
初歩は英語でなんて言うの?
「初歩」は英語で「First step」や、「Elements」とも表します。
「First step」は物事においての第一段階で、「Elements」は要素や要因などの意味合いです。他にも「Rudiment」は基礎や原理を表しますが、日本語での「初歩」の概念としては、「First step」が最も近いです。
「to teach the first step」は、「(何らかの)初歩を教える」の意味になります。
初歩は中国語でなんて言うの?
「初歩」の中国語は「入门」になり、これは日本語での「入門」に当たります。学校に入学したり、誰かに弟子入りするイメージが近いでしょうか。
他にはそのまま「初歩」の字を用いたり、「低級」や「初級」とも書きます。「先要入门」とは「まずは初歩を学ぶ」という意味で、「低级阶段」とは、「初歩的な段階」になります。使う側の立場によって異なり、学ぶ側であれば「入门」、学ばせる側であれば「低級」や「初級」と、使い分けられます。
初歩の類義語や関連語は?
「初歩」の類義語や関連語は、「最初」、「初回」、「第一歩」などがあります。どれも物事のはじめを表す言葉です。
対象が人の行動か、物事のはじめの段階かで、適切な言葉が変わってきます。たとえば「最初から躓く」だと、物事のはじめの段階で躓いたのか、あるいは運動をしていて物理的に躓いたのか分かりにくいですが、「初歩から躓く」だと、物事のはじめの段階で躓いたのだと、明確に伝わります。
他には「基礎」という言葉もあり、「初歩を学ぶ為の、基礎知識」のような使い方をします。
初歩の対義語は?
「初歩」の対義語は、「奥義(おうぎ)」になります。
奥義と聞けばまるでゲームなどの必殺技のようですが、ここでの「奥義」は、その物事を極める、という意味合いです。
「極意」とも言い換えられ、どちらも極めた段階を表す言葉です。
また「初歩的」に対して「専門的」という言葉もありますが、その物事において深い知識や理解、技術を有している場合に用いられます。
「奥義」にしても「専門的」にしても、はじめの段階に対し、極めた段階という部分は共通しています。
初歩を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「初歩」の慣用句には、上記でも紹介しましたが、「初歩的」という言葉があります。
両方とも意味は同じですが、「的」はその性質を持ったものを表したり、対象の方面に関わる、などの意味を持ちます。
たとえば「初歩」の性質を持った問題は、「初歩的な問題」と言え、実際の物事において「初歩」かどうか分からなくても、「簡単」や「基礎」というニュアンスで使えます。
「初歩の問題」だと、発言した人物が、その問題を「初歩」だと知っていなければいけません。曖昧なときに「初歩的」は便利です。
初歩にまつわるサイト
「初歩」に関わるサイトを、二つほど紹介していきます。「初歩」で検索すると、何かを学ぶ為のサイトが多く見られます。
http://www.tentan.jp/
一つ目は、英単語を「初歩」から学べるサイトです。初級から上級まで設問があるので、自分のペースで、徐々に勉強できます。
二つ目は、プログラミングの「初歩」について書かれています。
まったくの未知の分野に手を出すと、「初歩」の段階すら分からない場合があります。プログラミングにおける「初歩」の段階とは何なのか、分かりやすく記載されています。
初歩の意味や使い方についてのまとめ
「初歩」とは、「初め」と「歩く」の組み合わせではありますが、人に対してではなく、何らかの物事に対して使う、はじめの段階を表す言葉です。
学問や技術、芸などにおいて、まずは「初歩」から学ぶのが一般的と言えるでしょう。状況や使い方によっては、叱責や呆れにも取られますので、どういった意味で使うのか、よく考える必要があります。
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