資金とは？の意味と使い方を解説

普段何気なく使っている「資金」という言葉。実は使い方によって、その言葉の指し示す意味が変わってくることをご存知でしたか？
「資金」って現金のこと？　それとも貯金のこと？　財産も含めるの？
知っているつもりでも、掘り下げてみると意外に疑問が多い「資金」という言葉。今回は会話形式の例文も使って、分かり易く解説します。

資金の読み方

「資金」の読み方は「し-きん」です。
「資」は音読みで「し」ですが、訓読みで「もと」と読むこともあります。しかし、この「もと」という読み方は常用漢字表には載っていません。
「金」は音読みで「きん」、「こん」、訓読みでは「かね」、「かな」、「こがね」と読みます。「こがね」という読み方は常用漢字表には載っていません。
ちなみに常用漢字表とは、国が推奨する一般の社会生活で使う漢字の目安であり、本表に載っていないからといって間違った読み方というわけではありません。

資金の意味について

「資金」とは、ある目的や活動のために必要な費用、「もとで」のことをいいます。
たとえば、あなたは将来、ゲーム会社を経営したいと考えているとします。ゲーム会社を作るためには、会社の事務所を整えるお金や、ゲームを作るために必要な機材の購入費など、たくさんのお金を必要とします。この時必要になるお金のことを「資金」といいます。
「資金」は、すでに持っている状態を表すこともあれば、まだ手にしていない状態を意味することもあります。

資金の正しい使い方

「資金を貯める」、「資金が底をつく」など、「資金」だけで使うこともありますが、その前や後ろに別の言葉をつけ、１つの名詞として扱う“複合語”として使用することも多いです。たとえば「結婚資金を貯める」、「資金繰りに困る」、「軍資金を確保する」などです。
なお、「資金」は現金だけを指すこともありますが、使い方によっては預金やいつでも換金することができる証券などが含まれる場合もあります。「資金」の中に何を含むかは明確に定まっておらず、前後の会話や言葉から読み取ることがほとんどです。

資金の間違った使い方

「資金」と混同しやすい言葉に「資産」というものがあります。「資産」には、現金やいつでも換金することができる証券以外にも、土地や建物などの財産も含まれます。また、「資産」はすでに保有している状態を意味します。
つまり、すでに持っている、あるいはこれから貯める現金及びほとんど現金と同じ扱いができるものについては「資金」と表現し、現状保有しているすべての財産を指すときは「資産」を使用します。たとえば、財産をたくさん持っている人のことは「資産家」といい、「資金家」という言い方はできません。

資金を使った例文

掘り下げて説明をすると少しややこしくなってしまう「資金」という言葉ですが、実際に会話の中で使ってみると、そう難しいことはありません。「資金」という言葉の中に何が含まれているかを厳密に知る必要がある状況は、日常会話の中ではほとんどありません。会話の相手が、前後の言葉で予測をすることがほとんどです。
では、「資金」という言葉を使った会話を例文としてあげてみます。

資金の使い方【例文その①】

太郎「会社を設立して５年。始めこそ（1）資金繰りに苦労したけど、ようやく軌道に乗ってきた。今まで苦労かけたけど、これからは幸せにするよ！　結婚してくれ！」
花子「最高級ホテルで式を挙げて、お城みたいな新居に住まわせてくれるならいいわ」
太郎「今度は（2）結婚資金を貯めるのに苦労しそうだよ…」

（1）太郎君の会社で持っている現金残高を把握しておき、電気代などの支払日に足りなくなるという状況にならないよう、やり繰りすること。
（2）花子さんと結婚するために太郎君がこれから貯める、莫大な現金（貯金）のこと。

資金の使い方【例文その②】

太郎「会社で開発したゲームが大ヒット！　ようやく目標額の（1）結婚資金が貯まったよ。今度こそ結婚してくれ」
花子「実は私の預金もかなり貯まったの。今私たちが持っている（2）資金を使えば、あなたの夢だった会社の全国展開が実現できるわ！」
太郎「え？　豪華な式や新居は？」
花子「あれは嘘よ。籍さえ入れてくれればいいの。私の幸せはあなたの夢が叶うことだもの」
太郎「花子ぉぉ！」

（1）太郎君が頑張って貯めた、花子さんとの結婚に使うお金のこと。
（2）太郎君と花子さんが持っているすべての現金や貯金、証券などのこと。

資金は英語でなんて言うの？

「資金」は英語で「fund（ファンド）」です。さっそく「fund」を使った例文を書いてみます。

これは、「老後資金として3000万円は用意しておきたい」という文です。「as a fund」が「資金として」、「for when I get older」は「年を取った時の」で「年を取った時の資金＝老後資金」と捉えることができます。

資金は中国語でなんて言うの？

「資金」は中国語で「资金」です。「資」の形が残っていて、「金」は日本語と全く同じなため、とても分かり易いです。中国語で「资金有限」と書くこの言葉は、読んで字のごとく「資金には限りがある」という意味です。では、長文の例も見てみましょう。

「为了开新店，我从银行那里筹措债务资金」

やはり長くなるとさすがに分からないですね。意味は「新しいお店を出店する為に、銀行からデットファイナンスで資金を調達する」です。意味を知ってから見てみると、不思議と所々読めてきて面白いものです。

資金の類義語や関連語は？

「資金」の類義語は「もとで」、「元金」、「資本金」などです。これらは現在手元に資金がある状態を指しているようにも感じます。しかし、「軍資金」、「先立つもの」、「種金」などという表現の仕方をすると、現在手元にないが、特定の目的のために今後必要になる費用という捉え方ができます。
ちなみに、最近「クラウドファンディング」という言葉をよく耳にしますが、これは群衆という意味の「crowd（クラウド）」と、資金調達という意味の「funding（ファンディング）」を掛け合わせた造語です。

資金の対義語は？

「資金」という言葉の対義語はありません。
反対の意味の言葉として挙げるとするならば、「資金」は特定の目的のために貯める又は遣うお金ですので、「蓄えるだけで活用しないお金」という意味の「死に金」は反対語に近いかもしれません。
ちなみに「資金」の類義語である「元金」の対義語には「利子」が当てはまります。しかしこの場合の「元金」の意味は「お金の貸し借りをした際の利子などを含まない元々の金額」です。「資金」の類義語としてあげた「もとで」という意味としての「元金」には、対義語はありません。

資金を使った熟語や慣用句、ことわざはある？

「資金」という言葉を使った慣用句やことわざはありませんが、熟語（複合語）は多くあります。せっかくですので、これまでに出てきていない「資金」を使った熟語をあげてみます。

「資金洗浄したお金を使う」
資金洗浄…違法な取引などによって得た資金を出所や流れを隠すために処理すること。

「制裁として資金凍結をされた」
資金凍結…資金の移動や処分を制限、または禁止すること。

「政治資金の収支を嘘偽りなく公開する」
政治資金…政治活動に必要な資金のこと。

他にも「公的資金」、「資金循環」など様々な言葉があります。

資金にまつわるサイト

「人生の三大資金についてしっかり考えよう！～マイホームとライフプラン | マネープラン | Pick UP MYHOME」
[URL: https://www.sbs-mhc.co.jp/column/moneyplan/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AE%E4%B8%89%E5%A4%A7%E8%B3%87%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%8A%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%88%E3%81%86%EF%BC%81%EF%BD%9E%E3%83%9E/] こちらのサイトではほとんどの人に関わりのある人生三大資金「住宅資金」、「教育資金」、「老後資金」について詳しく解説されています。マイホームを建てようと考えている人などにおススメです。

「運転資金とは？融資を受ける際に気を付けること | 起業tv」
[URL: https://kigyotv.jp/college/working-capital/] こちらのサイトでは、企業を運営するために必要な運転資金について、詳しく書かれています。銀行からの融資などを考えている人には価値ある記事となっています。

資金の意味や使い方についてのまとめ

「資金」とは、特定の目的のために必要な費用のことで、使い方によっては現金以外にも預金などを含める場合がありますが、財産は含まれません。
日常の中では「資金」という言葉だけで使われることよりも、「結婚資金」、「資金繰り」など、複合語として使用されることが多いです。
さて、今回は「資金」という言葉を掘り下げて解説しました。意外と知らなかったこともあったのではないでしょうか？　皆様の参考になれば幸いです。