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配偶者控除の計算方法とは?しくみの基礎と計算の裏技を徹底解説

納税者に所得が低い配偶者がいる場合、配偶者控除を受けて納税額を軽減させることができます。とはいえ、具体的な計算方法まではよく分からない人も多いかもしれません。2018年から制度が変わり、自分の場合はどうなのか分かりにくくてお困りの人もいるでしょう。

配偶者控除を受けられるかどうか、受けられるなら控除額がどうなるか計算が必要です。また、配偶者控除は所得控除なので実際の納税額がどうなるかも計算次第です。この記事ではその計算方法を解説します。

計算方法の基礎のしくみをしり、細かな計算をするのに国税庁が配布している計算ツールを活用すると、配偶者控除についての手続きや計算が正しく楽に行えるようになります。

配偶者控除の計算とは

配偶者控除は、納税者に所得が低い配偶者がいる場合に税の負担を軽くするためのものです。年間の所得が38万円以下の配偶者が配偶者控除の対象です。後で述べるように2018年からは納税者本人の所得にも制限が加わりました。この配偶者控除を把握するために必要な計算は2つあります。

一つは、配偶者控除を受けられるかどうかの条件を知るために、納税者本人と配偶者の所得を計算するものです。収入と所得は異なるので計算が必要です。もう一つは配偶者控除を受けることで納税額がどうなるのか知るための計算です。

配偶者控除の計算式で知っておくべき基礎知識

配偶者控除の計算式について知っておくべきことは3つです。所得の計算の対象となる期間、納税者本人と配偶者の所得の計算の方法、それから配偶者控除を受けるといくら節税となるかという計算の方法です。

配偶者控除の計算の区切りとなる期間は?

税については1月1日から12月31日までの所得が課税の対象となります。納税者本人の所得も配偶者の所得もこの1年で得た収入をもとに所得を計算します。4月から始まる年度ではないので注意しましょう。

配偶者控除を受けようとする給与所得者は勤務先に書類を提出します。この時点でその1年の収入(所得)が分かっていなければ見積額を記入することになります。給与の額は決まっていることが一般的ですが、給与以外の収入も含め12月31日を過ぎた後で所得が増減していれば、まずは勤め先に修正を申し出ましょう。勤め先で調整できないときは、自分で確定申告で正しい納税額にします。

手取りや額面と違う給与所得の計算方法

納税者本人と配偶者の所得の計算式について、基本は「所得=収入-経費」です。どのような種類の所得もそうです。ただ、サラリーマンやパート勤めの給与所得者は経費を自分で計算する必要はなく、経費という意味合いで差し引ける金額があらかじめ決まっています。これを給与所得控除といい、給与所得控除の金額は給与収入に応じて決まります。最低でも65万円と決まっているので、パート勤めで収入がそれほど多くない人はこの金額であることが多いでしょう。

給与収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得です。手取りという言葉は通常、額面の給与収入から社会保険料と税金も引いた額を意味します。給与所得と手取りは範囲や使う場面が異なるので注意しましょう。

給与所得控除の金額

給与収入給与所得控除
180万円以下収入金額×40%

65万円に満たない場合には65万円

180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下収入金額×20%+54万円
660万円円超1000万円以下収入金額×10%+120万円
1000万円超220万円(上限)

 

配偶者控除の節税額を計算する方法

後で詳しく説明しますが、配偶者控除の控除額は納税者本人と配偶者の所得の組み合わせで決まります。ここで決まった金額がそのまま節税となるわけではない点に注意しましょう。配偶者控除は最大38万円(70歳以上なら48万円)が認められますが、だからといって納税額が38万円減るわけではありません。

配偶者控除は所得控除といって、課税対象所得額からその金額を差し引くものです。課税対象額から差し引く控除額の分だけ税金がお得になりますが、その金額は控除額に税率を掛けたものとなります。所得税率20%の人が38万円の控除が認められた場合、38万円が課税対象額から外れるので38万円×20%=7万6000円が節税となります。

配偶者控除と配偶者特別控除の計算の異同とは

働く女性も増え、配偶者控除を受けるには所得が多い配偶者も多数いるでしょう。配偶者控除を受ける金額を超える収入があるからと言ってすぐに控除がなくなるわけではありません。所得が123万円までなら配偶者特別控除の対象です。

配偶者特別控除でも「収入-経費」で所得が決まるのは変わりありませんが、パート勤めなどでも給与が大きい場合には給与所得控除が65万とは限りません。給与が多いと給与所得控除の額も増えます。所得が123万円となる給与年収は201万6000円未満までです。

計算の対象となる期間や、控除を受けた結果の節税額の計算方法は配偶者控除も配偶者特別控除も同じです。

配偶者控除の計算、2018年からの変更点を徹底解説

2018年に配偶者控除と配偶者特別控除のしくみは大きく変わりました。納税者本人に所得制限が設けられました。納税者本人の所得が1000万円(給与所得控除を引く前の給与収入1220万)を超えると配偶者控除・配偶者特別控除とも受けられません。

納税者本人の所得が1000万円以下でも3段階に分かれます。900万円以下(給与収入1120万円以下)、900万超950万円以下(給与収入1120万円超1170万円以下)、950万円超1000万円以下(給与収入1170万円超1220万円以下)です。

配偶者控除・配偶者特別控除は配偶者の所得に応じて9段階あります。2018年からは納税者本人と配偶者の所得の組み合わせが3×9=27通りあり、それぞれ控除額が異なることになります。そして、自分がどの控除額なのか自分で把握して勤務先に届ける作業が必要です。

配偶者控除の計算、国税庁サイトでエクセルを使う裏技

給与所得者が配偶者控除や配偶者特別控除を受けるには勤務先に「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出しなければなりません。この書類に納税者本人と配偶者の所得を記入する必要があります。先に述べたように給与所得は収入から給与所得控除を引くもので、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の裏面に年収ごとの計算式が載っていますから自分で計算できます。しかし、もっと便利なツールがあります。

国税庁が「平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)」を配布しています。これに給与収入を入力すれば、所得を自動で計算してくれます。さらに配偶者の年齢など必要項目も入力すると、自分の控除額も計算してくれます。

配偶者控除の計算例を挙げてみた

配偶者控除の計算例を挙げてみます。納税者本人の給与収入が600万円で、配偶者の収入が150万円の場合です。納税者本人の給与所得は、国税庁のエクセルファイルで入力したところ426万円となりました(この年収では給与所得控除は「収入金額×20%+54万円」で計算され、給与所得控除は174万円となります)。配偶者の給与所得もエクセルファイルによれば85万円となります(この年収では給与所得控除は65万円です)。

納税者本人の所得426万円と配偶者の所得が85万円の場合、配偶者特別控除で38万円の所得控除が受けられます。この38万円に所得税率を掛けた額が節税となる金額です。所得税率は他の所得控除によって異なります。所得税率が20%なら38万円の控除を受けることで7万6000円節税となります。

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