日本語に「公的」という言葉があります。一言でいうと、「社会的集団の一員としての人間の属性」また「政府に所属すること」を指します。特に前者はこの説明だけでは何を指すどのような意味の言葉なのかわかりずらいと思われるので、ここではこの「公的」という言葉について、意味や正しい使い方、間違った使い方、熟語、ことわざなど、様々な視点で紹介、解説していきます。英語や中国語に訳した使い方も紹介します。
目次
公的の読み方
では初めに、「公的」の読み方から紹介していきます。「公」という漢字は音読みで「コウ」もしくは「ク」と読み、訓読みだと「オオヤケ」と読みます。「的」という漢字は音読みで「テキ」と読み、訓読みだと「マト」もしくは、あまり一般的な読み方ではありませんが、「アキらか」とも読みます。この2つの漢字を両方とも音読みにしてつなげて読むと「公的」という言葉になります。「オオヤケマト」とか「クテキ」とかいっても多分通じません。
公的の意味について
「公的」の意味ですが、「社会的集団の一員としての」とか「政府や国の、公共の」という意味で使われる言葉です。一文字ずつ意味を考えると、「公」という文字はもともと「大きな建物」を指し、そこから転じて現在では、「国の、政府の」という意味や、「公共の」という意味で使われています。「的」という文字は「○○の属性を持った」という意味で使われています。つまり漢字の意味をそのまま解釈すれば、「政府や国に属する、公共の性質を持った」というような意味になります。
公的の正しい使い方
「公的」の正しい使い方と間違った使い方を紹介していきたいと思います。先述したように、「公的」は「個人の社会的集団の一員としての属性」また「政府の、国の」という意味なので、前者の意味で「公的」という言葉が使えるのは、「一個人としての自分とは切り離された、社会的組織の一員としての自分についての事柄」である場合に限られます。したがって前者の意味でこの言葉を使う場合には、まず「組織の一員である自分」と「一個人としての自分」を明確に区別することが必要です。
公的の間違った使い方
では「公的」の間違った使い方ですが、言葉の意味から言って、例えば単に個人の意思や考えを「自分の公的な意志」「公的な考え」と言ってしまうと、「一個人としての自分の意志や考え」という要素が排除できないので、本来の意味からすればあまり適切ではありません。「組織の一員としての自分の属性」と、「一個人としての自分の属性」は必ずしも切り離せるとは限らず、切り離せない場合に「公的」という言葉を使うと混乱の元です。
公的を使った例文
ここでは、「公的」という言葉を使った例文を会話形式でいくつか紹介したいと思います。「公的」という言葉が使われるのは、「社会的集団の構成員である人物が、その集団の一員としての自分についての事柄や属性について述べる場合」か「政府に関係した物事」を示す場合です。特に前者はこの説明だけだとなかなか分かりずらいと思うので、具体的な例文を挙げて解説します。
公的の使い方【例文その①】
会社での会話です。
「大人になると自由がなくなるよな」
「急にどうした?」
「いや、学生の頃はあんまり何にも考えずに自由に物を言ってたような気がするんだけど、最近はなんか自分の会社や仕事の不都合や不利益になるようなことは何となく口に出せなくなったなと思って」
「会社員という公的な立場があるからある程度はしょうがないさ」
ここでは「会社という社会的集団の構成員としての自分」という意味で「公的な立場」という言葉を使っています。
公的の使い方【例文その②】
大学生の会話です。
「また消費税上がるらしいぜ」
「困るよな」
「税金がなければ警察や消防みたいな公的なサービスは維持できないのは分かるけど、なんか急に上がりすぎだよな」
「年金や保険料も最近割と高いしな。負担とサービスのバランスはなるべく公平にしてほしいよな」
「『完全な公平』というのもなかなかむつかしいんだろうけどな」
ここでは「政府が運営する事業」という意味で「公的なサービス」という言葉を使っています。
公的は英語でなんて言うの?
「公的」は英語にすると「public」と書き、「パブリック」と発音します。英語の「public」はもともと「多くの人の」という意味を指す単語で、そこから派生して現在では「政府の」とか「大衆の」、「公共の」、「国民全体の」といった意味で使われています。あります。ほかには「official」とかいて「オフィシャル」と読む単語にも「公的」とか「公式の」、「公認の」、「職務上の」、「公務員」という意味があります。
公的は中国語でなんて言うの?
「公的」は中国語では「公共」または「公共的」と書き、それぞれ、「ゴォンゴォン」、「ゴォン ゴォンドゥー」と発音します。中国語の「公共的」という単語には「公開されている」という意味もあります。中国語の「公」の文字にも日本語と同じく「政府の」とか「公共の」、「共用の」、「公開する」といった意味があり、中国語の「公」にはほかに「国際的な」という意味もあります。中国語でも「公」の対義語は「私」になります。
公的の類義語や関連語は?
「公的」の類義語には、「皆で共用する」という意味の「公共」、「なんらかの社会的集団が正式に認めたもの」という意味の「公式」、他人や部外者に公開された場を示す「おおやけ」といったものがあります。「官」という文字にも「政府の」という意味があり、例えば「官営事業」といえば、「政府が経営している事業」という意味になります。カタカナの「オフィシャル」も「公式の」とか「公認の」という意味の日本語として通用します。
公的の対義語は?
「公的」に直接対応する対義語は「私的」です。もともと「公」という文字の対義語が「私」なので、「的」のついた「公的」の対義語は「私的」になります。「公的」には「社会的集団の中における人間の属性」「政府の、公共の」という意味があるので、これの対義語の「私的」は、「社会的集団とは切り離された一個人としての人間の属性」という意味になります。他には「非公式」も「社会的集団が認めた」という意味の「公的」の対義語に近い言葉になります。
公的を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「公的」を使った熟語には、「仕事などの用途に使用すること」を示す「公的使用」、「国や政府、都道府県などの公的機関が企業や個人に対して行う支援」を示す「公的支援」、「政府の年金、医療保険」を示す「公的年金制度、公的医療保険」、「国や地方自治体が、政策の一環として、民間の金融機関や企業などに投入する財政資金」を指す「公的資金」などがあります。「公的」という言葉を直接使用したことわざはみつかりませんでした。
公的にまつわるサイト
ネットで「公的」と検索すると上の方には「公的」の辞書的な意味や、「公的」という言葉を含む例文を解説したサイトなどがヒットします。これらのサイトの中から2つ紹介します。
「公的」とは -コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E5%85%AC%E7%9A%84-496713
「公的」という言葉の辞書的な解説です。
公的(こうてき)の意味 – goo国語辞書
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/74351/meaning/m0u/
「公的」という言葉を含む例文と慣用句の一覧です。
公的の意味や使い方についてのまとめ
ここまで「公的」という言葉を様々な角度から少し詳しく掘り下げてみました。「社会的な組織の」もしくは「政府の、国の」という意味で使われる言葉です。どちらの意味で使われているのかは文脈から判断する必要があります。「政府とは関係ない組織」について述べている場合には前者の意味で、「年金や保険など、政府と民間の両方にある制度」について述べている場合には後者の意味で解釈すればたいてい間違いはありません。
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