普段何気なくしているお辞儀ですが、ビジネスマナーとしてシーンに合った「角度」が大切なのをご存知でしょうか?
お辞儀には「会釈、礼、敬礼」という3つの段階があり、それぞれ意味が違うとともに、頭を下げる角度も違ってきます。
今回は、ビジネスマナーとしてのお辞儀の角度について解説します。
目次
「お辞儀」でなぜ「角度」に気を付けなければならないのか?
お辞儀で頭を下げる角度を、日常生活の例で思い出してみましょう。
道ですれ違った人に「こんにちは!」という時のお辞儀と、相手に失礼なことをして「大変申し訳ありません!」という時のお辞儀の仕方が一緒だったら、お辞儀をされた人の印象はいかがでしょうか?
普段の日常生活でさえ、相手への印象を考えてお辞儀の仕方に気を遣うのですから、これがビジネス場面となると、相手は大切な取引先や顧客のこと、普段以上に気遣いをしなければならないというのは当然予想できますよね。
お辞儀は特に重要なビジネスマナー
ビジネスシーンでは、自分の行動一つで会社のイメージが決定されかねません。
今は取引のある会社でも、担当者がビジネスマナーの基本を心得ない人だとわかれば今後の付き合いを考え直され、違う会社に変更されることさえあります。
「御社にはいつも贔屓にしてもらい、感謝の気持ちでいっぱいです。」と心の中だけで思っていても、気持ちを「形」で示せないようでは意味がありません。
ビジネスマナーは印象が全てなので、感謝の気持ちを「形」にして表すこと、それが「お辞儀という形」になるわけです。
しかも、ビジネス場面で表したい気持ちは感謝だけではありません。
大きな取引につながったお礼として「この度は、本当にありがとうございます!」だけでなく、不手際でご迷惑をおかけした「お詫び」も時にはあるかもわかりません。
お辞儀は様々なビジネスシーンで登場します。
お辞儀のに関する正しいビジネスマナーを学んでおくことは、印象が重要なビジネスシーンにおいて大変重要なことになるでしょう。
お辞儀をするシーン
ビジネス場面では多くの「お辞儀」をする場面がありますが、もっと詳しく見ていきましょう。
整理すると次の3種類ですが、なおかつそれぞれに、社内シーン(先輩、上司、幹部)社外シーン(顧客、取引先)があるので、ビジネスシーンでは日常生活とは比べものにならない多くの「お辞儀」場面があります。
- 日常の「会釈」「挨拶」のシーン
- 感謝を示す「お礼」のシーン
- 丁重に「お詫び」するシーン
社外の顧客や取引先向けの方が気持ち的には気を遣いがちですが、かといって社内では気を遣わないでいいというものでもありません。
目上の先輩、上司、会社幹部とそれなりに敬意と礼儀を持って接することは大切です。
会釈と礼と敬礼の3段階
前段で整理した1.2.3.は、実はこの順番に頭の下げ方が深くなるのですが、目安となる角度を紹介しながら事例で詳しく見ていきましょう。
1.軽く頭を下げる「会釈」:15度
会釈は、軽く頭を下げる感覚です。
たとえば社内の通路で上司とすれ違ったとしましょう。
毎日のことなので、視線が合った瞬間に「おはようございます。」とか「お疲れ様です。」といった言葉とともに頭を少し下げる、これが「会釈」です。
あるいは取引先で応接に通された時、案内してくれた方が「〇〇を呼んでまいりますので少々お待ちください。」と言われました。この時、軽く頭を下げ「ありがとうございます。」と言いながら下げる頭の角度と考えて下さい。
2.気持ちを入れての「礼」:30度
社内の全体会議で、プロジェクトチームを代表して先日受けた社命の報告をします。
報告に先立ち改めて自己紹介をし、今回の目的を会議の参加者に伝える時にみんなに向かって「礼」をします。
取引先の責任者に初めてお会いし、名刺を出しながら「初めまして!〇〇と申します。今後とも宜しくお願い致します。」と初対面の挨拶場面。
この時、相手に好感を持ってもらえるようにしっかり頭を下げ、「礼」をすることが大切です。
3.敬意や気持ちを十分込めて「敬礼」:45度
社長から呼ばれ、今回の人事異動で「〇〇支社の支社長を命じる。是非、君の力で盛り上げてくれ。」と言われました。
「ハイ、ご期待に沿えるように一生懸命頑張ります。」と決意を込めて「敬礼」をします。
または、大切なお客様からの注文に対して、納期を遅らせ多大な迷惑をかけてしまった場合。
責任者としてお詫びをする時、頭を下げるというより腰を折ってお許しを請うという時のお辞儀の深さです。
「最敬礼」ともいい、気持ち的には体を半分以上折っている状態と考えて下さい。
ビジネスジーンでの評価が上がる!適切なお辞儀をするには?
お辞儀には3種類あることを紹介しました。
これらをうまく使い分けるために、どのようなことに気を付ければいいかを紹介します。
角度の違いで印象アップ
述べてきたように、角度は気持ちの表現です。
ここに挙げた例でいうと、通路ですれ違った上司にいちいち立ち止まり、角度45度で「おはようございます。」と挨拶をすると、上司の面食らう顔が見えます。
逆に、大損害を与えてしまったお客様にお詫びに行った際、「ペコッ」と頭を下げる程度の浅いお辞儀では、逆効果となります。
つまり、「お辞儀」をする目的にふさわしい「角度」が必ずあるということを覚えておいて下さい。
目的にふさわしい角度が、ビジネスマナーとして印象を間違いなく上げてくれます。
視線を変えれば角度が変わる
難しいのは、自分の頭を下げた時の角度を自分自身がチェックできないということ。
「頭を下げる」という意識が強くなると、頭はしっかり下がっているが、首を曲げているだけで、腰は折れていないという状況が起こります。
そこで、「お辞儀」に大切なポイントが、お辞儀をする時の視線。
頭を下げた時の自分の視線が前方のどのあたりを見ているか、視線の落とし先について解説しましょう。
1.会釈:3.0~3.5m
視線がこの程度先の方向だと、顔がほぼ上がっていて相手に向けられているので、軽く体を折ってくれたというイメージを相手に与えられます。
2.礼:2.0~2.5m
体を曲げた角度が30度というのは、本人が思っている以上に頭を下げ体を折っています。
視線的には前方約2mというのはすぐ目の前という感じがします。
これ以上先を見ているなら折り曲げ方が不足していると思って下さい。
3.敬礼:1.0~1.5m
これは、ほぼ真下から若干だけ前に視線をもっていった感じです。
本人の気持ち的には、ひれ伏した感じで頭と体を相手に投げ出した状態です。
「角度」は、常に「言葉」とセット
気持ちを「形」にしたのがお辞儀とその角度ですが、ここにお辞儀の目的にふさわしい言葉をセットにして感情をしっかり伝えます。
以下に、お辞儀の仕方ごとにセットとなる代表的な言葉を紹介しましょう。
言葉につられて角度が変わる
1.会釈
「こんにちは。」「おはようございます。」「お疲れ様です。」「ご無沙汰です。」
2.礼
「いつもありがとうございます。」「大変お世話になりました。」「かしこまりました。」
3.敬礼
「この度は誠にありがとうございました。」「感謝の気持ちでいっぱいです。」
「大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。」「心よりお詫び申し上げます。」
敬礼の場合、最も頭を下げた時はほぼ真下を向いている状態なので、この時に言葉を発すると相手に聞こえにくく、言葉は目線を合わせた時点でしっかり言ってから敬礼をするようにします。
正しいお辞儀ができることはビジネスへの自信になる
お辞儀には目的にふさわしい角度があるというのは述べて来た通りですが、一番の目的は「ビジネスへの自信」につながることです。
あまり経験したくない事例ですが、「お詫び」で45度というお辞儀「敬礼(最敬礼)」は、普通はなかなかすることがありません。
しかし、意を決して深々とお辞儀をしてお詫びし、ここを乗り切っていくことは大きな自信につながります。
いい方の事例では、なかなか取引をしてもらえなかった会社から商売の許可が下りた時は、営業マンにとってこんな嬉しいことはありません。
「お詫び」と目的は正反対ですが、「心からお礼申し上げます!」という最敬礼は、「形」を通り越し、必ず相手に気持ちが伝わるものです。
これも、ビジネスに自信を深める大きなきっかけになります。
正しいお辞儀のビジネスマナーを身に着けよう!
お辞儀の角度は決して難しいことではありません。
会釈、礼、敬礼と聞きなれないお辞儀の段階ですが、慣れればたやすいこと。
視線を何メートル先にもっていけばいいのか、なんて考えたこともないかもしれませんね。
でも、やれば意外と簡単にできます。
自分はぎごちなく感じていても、動作を見る相手側に丁寧さは伝わるものです。
どんな「マナー」もそうですが、意識をしながら場数を踏んでいくと必ず身に尽きますので是非実行して下さい。
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