ビジネスマナーが必要な場面で、機会が多くて相手に与える影響の強いのがお辞儀ですが、言葉の発声やお辞儀の角度に加えて印象を左右するのが、意外と「手の位置」です。
そこで今回は、お辞儀場面を中心に、好印象につながる「手の位置」について解説しましょう。
目次
「手の位置」で変わる全体の印象
「手には表情がある」とよく言われます。
人と会話しているときでもふと気が付くと、手が動いていて何やら語ろうとしていたり、手をもぞもぞさせ神妙にしていたりすることがよくあります。
今回紹介するお辞儀場面での「手の位置」は、「手の表情」として相手に良い印象を持ってもらうための解説です。
たとえば「感謝のお礼場面」で、最敬礼のお辞儀を角度45度で深々としたします。
この時の手が、照れくさそうに頭の後ろをかいていたり、両手を前で揉み手のように組んでいたとしたらいかがでしょうか。
まさか、そんな人はいないでしょうが後ろ手なんてありえないですよね。
お辞儀をするときの「手の位置」
そもそもお辞儀の意味は、頭を下げることで相手への「敬意」や「尊敬」「お詫び」の気持ちを表すことにあります。
したがって、当然それにふさわしい「手の位置」が付いてくるものなので先ほどのように、手が変な動きをしていては意味がありません。
意味がないどころか、頭を下げているが実際の気持ちはそうでないと「手が語ってる」ことになります。
お辞儀をする時の正しい手と位置は、体の前で手を組み、おへその下あたりに軽く置くというのがマナー。
頭はしっかり下がり、言葉も「よろしくお願いいたします。」あるいは「いらっしゃいませ。」と言っているのだから、手も相手に向かって従順な表情にするというのが考え方です。
手を組むときの右手と左手の関係
手を組んで体の前に置くというのはわかっていただけたと思いますが、単純な疑問で、右手が上か左手が上かという問題があります。
諸説ありますが、多くのサービス業や接遇マナーでは「右手が上」が一般的です。
理由は、右手が利き手という前提で、なにか相手に対して奉仕しなければならない時に、利き手の右手が上であればすぐに行動しやすいという理屈です。
確かに、「サービス」とか「おもてなし」の考えに対して、「右手が上」は納得できる考えですよね。
手の位置プラス指先への気配り
手の位置を理解してもらったら、さらに好印象をもってもらう方法があります。
それは、「指先」です。
手の位置が決まれば指は後から付いてきそうなものですが、もう一段配慮して上げると、好感度はさらに上がります。
力を入れ過ぎず、抜き過ぎないポイント
ポイントは手を体の前で組んだ時、組んだ手に力を入れ過ぎないという点です。
たとえば緊張で組んだ手に力が入り過ぎるとどうなるかというと、ひとつは指先が伸び切ってしまう不自然な感じになること。
もうひとつは、組んだ手を握り締めてしまい、いかにも緊張していますという堅苦しさが出過ぎた感じになります。
この原因は組んだ手の指先です。
伸びきる、あるいは曲げすぎが原因です。
改善策は、肩の力を抜く、おへその下あたりに置く時に「トンと軽く乗せる」イメージにしておくと全体の力が抜けて、指先の感じも程よくなります。
基本姿勢を体に覚えさせる
お辞儀場面は以上ですが、たとえば受命といって何か重要な指示を受けたリ訓示されている時は、「礼」はしていないので、手の位置はまっすぐ下に降ろした状態にします。
背筋を伸ばし、顔を正面に向けるとまっすぐ直立の姿勢になります。
直立時の姿勢と手の位置
この時の手の位置は、手をまっすぐ伸ばした状態でズボンの縫い目、あるいはスカートのサイドにそっと寄り添う形になります。
直立の姿勢はビジネス場面でそう多くはなさそうですが、重要なのはこの姿勢が、待機時、歩行時、挨拶時の「基本姿勢」になるということです。
応接室に通されお客様の入室を待つ直前の待機や、サービス業でお客様から何かの指示を待つ瞬間など、手に何も持たずに直立の瞬間が実はいくつもあります。
何もしていない、手に何も持ってないからこそ、他者からの視線を受けがち。
結果、余計に印象度が強くなる場面なのでここを押さえると好感度は間違いなく上がります。
まとめ
ビジネスシーンで、挨拶をする場面またそれに伴ってお辞儀をする場面はけっこうあります。
発する言葉もお辞儀の仕方も大切ですが、意外と「手の位置」は全体を印象付ける大きな役割を果たしているのです。
言葉とお辞儀に込められた「敬意」「感謝」「お詫び」などの気持ちは、同時を手の位置でも表していると考えて下さい。
つまり、従順な気持ちを象徴して、体の前で手を組むというのが基本です。
また、何も持たない、何もしていない基本待機の瞬間も重要で、指先まで気を配っての立姿勢は好感度をさらに上げます。
毎日の習慣で印象は大きく変わりますので、是非実行して下さい。
良い文献を見つけたので貼ります。
手を重ねるのは“休め”姿勢の記号としてであるから、“気をつけ”で礼(お辞儀)をする時、当然ながら手を重ねるのを解除する。礼は“気をつけ”の姿勢に改めてからするのは小学校の朝礼で全国民が身につける。ところが一部のビジネスマナーで、最近(昭和50年代以降か)特に女性に対して、手を重ねたまま礼をする動作を押しつけている。“休め”の姿勢のまま礼をすることは作法の文法に反しており、礼の心(=敬意)を著しく軽くした表現となる。貴族が平民に対する所作としてなら認められようが、従業員が顧客に対する所作としてはおかしい。
いかがでしょうか。
手は重ねません。
海外在住の者です。
ここ数年、日本のお辞儀の仕方が変化しているように感じます。
こちらの記事にあるようなお辞儀は、日本の伝統的なお辞儀ではないと思うのですがいかがでしょうか。
本来の日本のお辞儀は、両肘は張らず、両掌も重ねず組まず、自然に両太腿の前に添えます。
仕事柄、日本人の採用面接をすることがありますが、この記事のように掌を重ねるようなお辞儀をする方が増えて、非常に困惑しております。
若い方には特に、本来の日本の伝統的お辞儀の仕方を教えてください。
よろしくお願いいたします。