派遣業界で働いている人なら耳にしたことがある「派遣元責任者講習」。
どんな講習なのか、自分も受けることができるのか気になりますよね。
これから受ける人は、内容や実施場所、費用なども知っておきたいところ。
ここでは、派遣元責任者講習の概要と、派遣元責任者講習について疑問を持たれやすい点を解説します。
目次
派遣元責任者講習とは?
まずは派遣元責任者講習とはなにかという点について紹介します。
派遣会社での勤務経験がない人にはなじみがない言葉かもしれませんが、派遣業界で働くなら覚えておくべきですね。
派遣元責任者講習とは一体どんなものなのでしょうか。
そもそも派遣元責任者って?
派遣元責任者というのは、派遣先と派遣社員との連絡調整、派遣社員の労務管理、トラブル対応など、派遣にまつわる実務を担当する人のことです。
派遣元責任者講習を受講して3年以内である人の中から選任され、派遣社員100人ごとに1人以上配置する必要があります。
派遣会社の役職者のほか、実務を担当する一般社員が選任されるケースもあります。
派遣法で定められた派遣会社の義務とは?
労働者派遣法では、派遣事業に関するさまざまな決めごとがあり、派遣元責任者の選任と配置は派遣元事業主における義務です。
派遣事業は、派遣先、派遣元、派遣労働者という3者が関係する複雑な仕組みのため、行き違いによるトラブルや責任の所在が不明確になりやすい特徴があります。
中でももっとも弱い立場になりやすいのが派遣労働者。
彼らを守るため、責任の所在を明確にする目的もあって派遣元責任者が配置されます。
いつどこで実施されるのか
派遣元責任者講習の実施場所は、派遣協会など現在は19機関で実施されています。
実施機関や講習日程の一覧は厚生労働省のHPで紹介されており、詳細や申し込みについては各機関へ直接おこないます。
1つの機関でも全国各地で講習を実施していますし、日程もバラバラなので、実施場所や日程があう機関を探してみましょう。
費用はいくらかかるのか
派遣元責任者講習の費用は実施機関によって異なります。
それぞれ受講内容やテキストも違うため一概に比較はできませんが、参考までに一部の派遣元責任者講習実施機関の受講料は下記のようになります。
5,000円~9,000円がおおよその相場ですね。
・一般社団法人 日本人材派遣協会 一般9,000円 会員5,000円
・公益社団法人 労務管理教育センター 一般9,000円※過去に受講した企業は7,000円
・株式会社 ウェルネット 7,200円
・株式会社 労働新聞社 一般6,000円 定期刊行物購読者 5,000円
派遣元責任者講習の内容とは?
これから派遣元責任者講習を受講する方にとっては、その内容が気になるところですよね。
不安もあるでしょうが、おおまかな内容を把握しておけばそれほど心配する必要はありませんよ。
実施機関によって多少の違いはありますが、「だいたいこんな感じ」という程度で覚えておきましょう。
講師には労働の専門家が登場
派遣元責任者講習をおこなってくれる講師は、派遣法をはじめとする労働法に詳しい労働の専門家たちです。
社会保険労務士、中小企業診断士などの士業のほか、ビジネスコンサルタントや派遣会社の経営者などが登場することも。
さまざまな専門家の視点から、派遣元責任者として派遣事業とどう向き合っていくのか、派遣社員を守るために何をすべきかを教えてくれます。
労働者派遣法や労働基準法など法令知識を得る
派遣元責任者講習のメインはやはり法令知識を得ることです。
派遣事業は労働基準法のほか、派遣法理解が必須。
特に責任の所在については派遣元、派遣先どちらにあるのかが、項目ごとに異なってくるため非常に複雑です。
派遣社員を派遣することは、多くの責任を負う必要があるため、法令知識は必ず身につけておかなくてはならないでしょう。
講師である専門家たちが、難しい法律も事例を踏まえてわかりやすく解説してくれますよ。
実施機関ごとにテキストもありますから、熱心に聞いておきましょう。
選考や個人情報など派遣事業者としての留意点とは?
法令知識を一通り学んだら、より具体的に実務レベルでの講義に入ります。
選考はどのようにおこなうべきか、個人情報の適切な管理はどうするのかなど。
例えば派遣会社は、派遣社員の履歴書を派遣先に見せてはいけないなど、特徴的な留意点がありますよ。
それぞれ知っておかなくては、派遣社員や派遣先とのトラブルに発展しかねないでしょう。
1日がかりで法律漬け!
派遣元責任者講習は、午前から始まってお昼休憩をはさみ、夕方までびっちりおこなわれます。
1日がかりで法律漬けと言えるくらいな講習ですから、疲れる人も多いでしょう。
特に法律の解説は難解で眠くなってしまう人もいますが、大切な内容なので居眠りは厳禁。
前日はよく休み、日中の眠気対策をしてから臨むようにしましょう。
派遣元責任者講習に関する素朴なギモンとは?
派遣元責任者講習の概要は理解できたところで、さまざまな疑問が沸いてくるでしょう。
ここでは、派遣元責任者講習について誤解されがちな疑問を紹介します。
講習さえ受ければ誰でも責任者になれるの?
派遣元責任者講習を受講さえすれば誰でも責任者になれるわけではありません。
派遣元責任者講習の受講は、あくまでも派遣元責任者になるための要件の一つであり、ほかにさまざまな要件が定められています。
例えば「一定の雇用管理等の経験等」というものがあり、人事労務や管理監督者、派遣事業における担当などが「3年以上」必要になります。
通常は要件を満たしていることを前提として講習を受けることが多いですから、受講前に要件確認をしておきましょう。
派遣元責任者講習は何を基準に選べばいい?
派遣元責任者講習は実施機関や日程、費用なども異なります。
たくさんあって何を基準に選べばいいのか迷う人も多いでしょう。
都内在住などで機関が選びやすい環境なら費用を基準にするのも一つ。
ただ、派遣元責任者講習は「3年ごとに受講しなくてはならない」という縛りがありますし、平日に実施されるため仕事を調整する必要もあります。
そのため、場所とタイミングがあう実施機関を選ぶことがなにより大切です。
ほんの少し費用が安いからといって、実施場所が遠い、日程があわなければ意味がありませんから、仕事との調整のしやすさをベースに考えていきましょう。
講習の実施機関が違っても同じ効力?
派遣元責任者講習は、どの機関で受講しても同じ効力をもちます。
どこで受ければ有利になるといったことはありませんよ。
講師が異なるため、講師を調べてから受講する方がいいという考え方もありますが、あくまでも派遣元責任者になるための講習です。
講師によって今後の仕事に大きく影響するわけではないと思っておきましょう。
向学心のため講師を重要視したいなら、個人的に講師のセミナーに参加するなどして勉強する方がずっといいでしょう。
派遣会社を転職しても有効?
派遣元責任者講習は3年ごとに受講するとされていますから、受講から3年以内であれば、転職して派遣会社が変わっても有効です。
派遣会社の社員として受講する人が多いでしょうが、受講の証明書は派遣会社に発行されるわけではなく、あくまでも個人に発行されるものだからです。
派遣会社を転職する際は、いつ受講を受けたのかを履歴書などに記載しておくようにしましょう。
受講証明書があると転職に有利なの?
派遣元責任者として働いていたということは、3年以上の経験がある証でもありますから、その意味での確認にはなります。
ただし、派遣元責任者講習は資格試験ではありませんから、転職に特に有利になるということはないでしょう。
転職における選考は、応募者の資質や志望動機などトータルで判断されます。
派遣元責任者講習を受講してあっても選考から漏れる可能性は十分にあると思っておきましょう。
派遣元責任者講習を受けるのは派遣会社の責務とは?
派遣元責任者講習の受講は、派遣事業を営む派遣会社の責務でもあります。
派遣法などの法令知識をよく理解し、派遣労働者が安心して働ける環境つくりやサポートをおこなうことが重要だからです。
派遣元責任者としての責任や職務をよく理解し、派遣事業の適正な運営に活かしていきましょう。
派遣元責任者講習の期限とは?
派遣元責任者講習の受講期限を過ぎてしまう方が多いようです。
派遣元責任者講習の受講日の1週間前迄であれば1年以内の受講日の変更を1回のみですが
受け付けてくれるので、受講期限を変更したい場合は、忘れずに手続きをしましょう。
参考公益社団法人労務管理教育センター
最後にそもそも派遣とは?
派遣とは、雇用契約を派遣会社と結び、実際に働く場所は派遣会社と契約を結んだ派遣先企業にになります。
最後に派遣という働き方をより活用するために派遣ついての記事もまとめてあるので、今一度派遣の意味を知るためにも参考にしてみてください!
参考記事
コメントを残す