離婚と転職。
人生の分岐点となる二つのことを同時期に考えることがあります。
どちらも時間と労力がかかることのように思えますが、果たして同時にすることはできるのでしょうか?
ここでは、離婚が転職に与える影響と、同時に行うために整理しておくべきことを紹介します。
目次
離婚すると転職に影響があるのか?
離婚したいと考えている人や、離婚協議中の人が転職活動をする際、気になるのは企業側の反応です。
ここでは、離婚が転職に与える影響をお伝えします。
企業の人事担当者は何を思うのか
離婚が転職に悪影響を与えるのか不安に感じる人もいるでしょうが、今の時代離婚は全く珍しいことではありません。
厚生労働省が発表した「平成28年の人口動態統計の年間推移」によると、平成28年の婚姻件数は62万1000組に対し、離婚件数は21万7000組。
離婚をする人がどれだけ多いかがわかりますよね。
これだけ多くの人が離婚する時代ですから、企業の人事担当者も離婚予定について特に気にかけるということはありません。
当然ながら離婚予定があるから採用を見送ろうなどと思うこともあまりないのです。
参照 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/
転職先に伝えておくべきこと
離婚の予定を面接の段階で伝えるべきかどうかを悩む人は多いようです。
これはシンプルに「今の事実を伝えること。」に気をつければ問題ありません。
離婚が確定しているのに隠すのは虚偽の申告になりますが、面接時点でまだ離婚が成立していなければ伝える必要もないでしょう。
ただし、シングルマザーになる予定で残業がどうしてもできないなど仕事に関わる事情があるならば、あらかじめ伝えておくことも考えるべき。
残業ありきで採用になったのに入社後に全く残業できないとわかった場合は、企業としても人材配置予定が狂ってしまいます。
離婚予定というよりは、残業できない事情を伝えておいたほうがいいでしょう。
また、入社時期と離婚成立がほぼ同時期の場合、入社の事務手続き上、名字の正確性は求められます。
時期によっても異なりますが、内定がでた後ならば事情を説明しておくことが誠実です。
名字をどうするかなど人事部に相談するのも手
このような事例もあります。
内定が決まった女性に離婚の予定があったのですが、「入社後数日で離婚が成立する予定だから、職場への紹介を旧姓でしてほしい。」と人事部へ相談が。
入社日の名字から数日で変更があることを職場の人には知られたくないとの思いがあったようです。
入社日の時点では本来の名字とは異なるわけですが、本人の希望に配慮し、職場の人には旧姓で紹介することになりました。
どう対処するかは会社次第ではありますが、何か悩んだことがあれば人事部などに相談するのは一つです。
これだけ個人情報の秘匿性が問われる時代ですから、よほどの理由がない限りは個人の事情に配慮した対応がされることが多いですよ。
世間は鬼じゃない!不安を感じ過ぎなくて大丈夫
離婚するとどこか世間に対して後ろめたい気持ちになったり、厳しい荒波に飲まれるような気になったりする人も多いでしょう。
離婚が珍しかった昔であれば、世間から何か言われてしまうことがあったかもしれませんね。
しかし筆者が多くの離婚経験者を見て思うのは、世間は離婚に関して寛容だということ。
多様な考え方が認められる時代ですから、本人たちの意志をとやかく言う人も少ない気がします。
世間は鬼じゃありませんので、不安を感じ過ぎたり情けない気持ちになったりすることもないのですよ。
離婚にからむお金の問題も把握しておこう
離婚するためにはお金の問題を切り離して考えることはできません。
ここでは、離婚と転職を同時期に考えている場合のお金にまつわる注意点を紹介します。
第3号被保険者の優位性を実感するかも
婚姻中に配偶者の扶養に入っていた場合、シングルになってかかるお金を把握しておく必要があります。
例えば社会保険料。
社会保険上、配偶者の扶養になっている人を第3号被保険者と言いますが、実はかなり恵まれている立場です。
通常数万円単位でかかる社会保険料を一切払わず、社会保険制度を利用することができるものです。
しかし離婚すると扶養を外れることになりますから、すべて自分で払うことに。
これまで当たり前になかった出費が発生することで、自立することの厳しさを実感することもあるでしょう。
住居の問題があるから一旦実家を頼るのも手
離婚しても今の住居に住み続けられるならいいのですが、引っ越しも同時に行う場合もあるでしょう。
離婚してから賃貸アパートを借りようと思っても、これまでパートや主婦だった場合は家が借りられないこともあります。
不動産会社にもよりますが、前年の所得証明などを求められることも多いからです。
就職先が決まった後であれば雇用契約書などで借りられるケースも多いですが、離婚後にまだ無職の場合は厳しいことも。
配偶者と住居について話し合いをする、一旦実家を頼って収入実績を残してから賃貸に引っ越すなど、慎重な対応が必要です。
離婚がスムーズにいかない場合にいくら必要?
協議離婚で済めば諸費用程度で済みますが、相手方が離婚に応じてくれない場合などに弁護士を頼ることがあります。
参考までに、弁護士事務所のおおよその相場ですが、着手金、離婚解決報酬で各30万円~、調停同席の日当が5万円程度、これに親権や慰謝料請求費用も別途発生し、トータルで100万円近くかかるのが一般的です。
慰謝料がもらえれば部分的にまかなえることもありますが、大金が必要なのは確かです。
法テラスや無料相談などから始めるなどし、慎重に弁護士選びをすることも大切です。
転職先から手当がもらえることもある
シングルで子供を扶養する場合など、転職先で扶養手当がでるかどうかも知っておくといいですね。
シングルの場合は通常の扶養より手当額が多い会社もありますので、基本給以外にも目を向けて転職先を探していくことも必要です。
ただし、こうした手当は申請主義ですので、会社規則を確認のうえ、自分でしっかり申請する意識を持っておきましょう。
通帳名義は早めに変更しておこう
離婚すると手続きしなければならないことが山ほどあって、通帳の名義変更まで手が回らずそのままにしておく人もいます。
通帳名義については、大金の引き出し時に本人確認が取れないなど不都合が発生するケースもありますが、名義変更をしなくても当面困らないからというのが理由のようです。
しかし、転職先の給与口座に指定する通帳は、しっかり名義変更をしておきましょう。
実際の名字と通帳名義に相違があると、給与の振込ができずに会社の担当者に迷惑をかけることが。
何より、当日の入金が間に合わず、諸費用の引き落としが遅れてしまうことなどもあります。
意外と見落としがちなポイントですが、会社としては確実に振込する義務がありますので、名義がどうなっているのかは重要なのです。
転職と離婚を同時にするなら計画性と事前準備が必要
離婚が転職に与える影響は、誠実な対応でポイントさえ押さえておけば、さほど気にすることはありません。
多くの会社では離婚するから不利になるということはないのです。
離婚予定があるから雇わないという会社があれば、それは今後の働く場所としては不適切ですよね。
別の会社を探しましょう。
転職と離婚を同時にするのは大変なことですが、計画性を持って事前にあらゆる準備をしておくことでスムーズに物事が進みます。
ぜひ覚えておいてくださいね。
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