「劇的」という言葉から、文字通り「劇」つまり、ドラマのような展開、驚いたり感動したりする様子というイメージを感じますね。
また、他にも、内容が大きく変化したり、急激に変化したりする場合も「劇的」という言葉を使います。
ふだん我々はあまり考えずに使っている「劇的」という言葉ですが、どのような意味合いがあるのか、見ていきましょう。
目次
劇的の読み方
「劇的」は、皆さんご存知のように「げきてき」と読みます。
この「劇的」という字は、変化の度合いやインパクトを表すのに効果的な言葉ですね。
読み方も「ゲキテキ」と濁音が入ったり、「キ」「キ」と同じ韻が二度続いたりして、ちょっと激しい感じがしますよね。
と思ったら、なんと「劇」の読み方で、音読みは、ゲキですが、訓読みは、はげ(しい)と読むそうです。
ご存知でしたか?
やはり、音とその意味は連携しているのですかね。
劇的の意味について
「劇的」の意味は、劇を見ているように緊張や感動をおぼえるさまやドラマチックな様子、という意味です。
漢字を見てもわかるように、劇のようなと言う意味ですね。
わかりやすいです。
たとえば、「劇的にやせる!」や「3ヶ月で英語が劇的に上達する!」などのタイトルのブログがあると、現状がガラッと変わり、なんだか、ばら色の結果が待っていそうな期待を持たせ、ついクリックして見てみたくなりませんか?
ある意味、誘惑にのってしまいそうなトリッキーな言葉ですね。
劇的の正しい使い方
例えば、「劇的」という言葉は、「この1週間で野菜の卸値が劇的に高騰している。」のように、短い期間の間で急激に変化している場合に使われます。
時間の他に、内容的に大きな変化を伴う場合にも「劇的に、・・・・・・・」などと使います。
また、先に述べたように、「劇的」とは、劇を見ているように緊張や感動をおぼえるさま、ドラマチックな様子ですから、「彼女が今の名声を得るに至ったいきさつは劇的である」のように、ドラマが作れたり、誰もが驚くような場合に、「劇的」は使われなければなりません。
劇的の間違った使い方
「劇的」に近い表現、言い回しに「激○○」という言葉があります。
例えば、(味が)「激うま」、「激辛」などで、「ものすごくうまい」、「ものすごく辛い」と言う意味ですね。
そう考えると、「劇的にうまい」や「劇的に辛い」というニュアンスもありそうで、一見「劇うま」や「劇辛」と書いても良さそうな気がしますが、これらは間違いです。
「激」の「激しい」という意味は、激しいと言う状態を示しているもので、「劇的」のように、時間的や内容的にに大きな変化を伴うということではないからです。
劇的を使った例文
「劇的」という言葉は、「ドラマティックな様子」や、「時間的、内容的に大きな変化を伴う場合」に使われます。
「ドラマティックな様子」に使う場合は、なんだか芝居がかっているようで、我々の日常生活ではあまり使うことがないかもしれません。
最近では、「時間的、内容的に大きな変化を伴う場合」の方が頻繁に使われるような気がしますが、それぞれの例文を見ていきましょう。
劇的の使い方【例文その①】
まず、ドラマティックな様子に使う場合の例文です。
「彼女のコンサートはいつも劇的なエンディングだね。」
「ほんとに。私が彼女の大ファンなので、毎回チケットをとってコンサートに行くのだけれど、今回はどんな内容かと、毎回ワクワクするのよ。」
これは、まさに、(ドラマではありませんが)コンサートという非日常の場面で、その内容がドラマティックで感動的ということを表しています。
本来は、「劇的」はこのような使い方をするのが自然なのでしょう。
劇的の使い方【例文その②】
こちらは、時間的、内容的に大きな変化がある場合の例文です。
「昨夜のニュースを見ましたか?」
「もちろん。A社があの世界的なB社を買収したニュースでしょ。あれは、最近まれに見る劇的な展開でしたね。」
買収される方が世界的に有名な会社であるということは、内容的にも驚くことですし、(実際には、水面下で買収のための準備が長い時間をかけて行われていたのかもしれませんが)ニュースとして明るみに出たのが急な場合、時間的にも急激な展開ということで、両方に大きな変化を感じる場合の使い方ですね。
劇的は英語でなんて言うの?
「劇的」を文字通り英訳すると、”dramatic” になります。
これは、文字通り、「ドラマのような」と言う意味ですが、我々日本人が「劇的」を使う場合、この英語の”dramatic”よりも、”drastic“(〔変化などが〕過激な、極端な様子)の方がしっくり来るような気がします。
というのも、本来のドラマのような場合に使うよりも、過激な、極端な(変化)をもたらす場合に、「劇的」を使う方が多いからです。
「劇的にやせる」、「劇的に上達する」などのような使い方ですね。
劇的は中国語でなんて言うの?
「劇的」を中国語で表す場合、「演剧一般的」「扣人心弦」「戏剧性的」などがあります。
これらは、どれも「劇のような感動や緊張がもたらされるさま」の意味で、まさに、英語の”dramatic”と同じ意味です。
一方、英語の”drastic”の意味の中国語はどんな言葉があるか調べてみたところ、「激烈」(闘争・運動が)激しい、苛烈である、や、「强烈」、「激烈」強くて,激しいなどがありました。
ですが、これらは、”drastic”のように、変化などが過激な、極端ななのではなく、状態そのものが激しいことのようです。
劇的の類義語や関連語は?
「劇的」の類義語はいくつかありますが、「急激」、「過激」、「爆発的」などでしょうか。
「ドラマティック」という言葉もありますが、これはただ単に英訳したカタカナなので除外します。
「急激」の場合は、時間的な変化を表し、短い時間で大きな変化を遂げた場合に使います。
「過激」は、時間的な観念はなく、変化の度合いが大きいことにフォーカスしています。
「爆発的」は、その両方をあわせもつようなイメージで、短い時間に大きな変化をもたらす場合に使われます。
劇的の対義語は?
「劇的」の正式な対義語を調べてみましたが、これという言葉はないようです。
ですので、「劇的」の意味合いから、その反対の意味になるような言葉を考えてみました。
決まり切った、何の変哲も無い、有り触れた、常識的などがあり、これらを漢字2文字の言葉であらわすと、「平凡」、「月並」、「凡庸」、「凡常」などでしょうか。
どれも、「ドラマティック」な様子や英語の”drastic”の意味の「変化などが〕過激な、極端な様子は全く感じられないですね。
劇的を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「劇的」という言葉は使われてはいませんが、その意味がまさに「劇的」な変化に見舞われる、という意味で、「波瀾万丈(波乱万丈)」ということわざがあります。
これは、「劇的な変化に次々と見舞われることや、大きな変化に翻弄(ほんろう)されること。また、そのようなさま」を意味します。
例えば、波乱万丈を使った例文として、「両親を一度に亡くしたのが、彼の波瀾万丈な人生の始まりだった。」の「波乱万丈」をそのまま「劇的」に代えても、同じ意味で通りますね。
劇的にまつわるサイト
以前、毎週日曜日に放映されていた、有名なリフォーム番組「劇的ビフォーアフター」のサイトです。
https://www.asahi.co.jp/beforeafter/
現在は終了していますが、2時間スペシャルなどの特別番組は放映することがあるようです。
また、リフォーム依頼は、まだ引き続き受け付けているようです。
こちらも、「劇的Before→After」という文字がタイトルに使われていますが、劇的にやせた3人の方のダイエットの様子を紹介したサイトです。
https://locari.jp/posts/158831
こういうタイトルを見ると、つい、中身を見たくなっちゃいますよね。
実際に、3人ともすごくやせてキレイになられています。
まさに「劇的Before→After」です。
劇的の意味や使い方についてのまとめ
本来の「劇的」という言葉は、劇を見ているように緊張や感動をおぼえるさまやドラマチックな様子という意味です。
ですが、我々が日ごろ使うのは、「ドラマティック」という意味よりも、サイトの例でご紹介した、「劇的ビフォーアフター」のような、前後での大きな変化を表す場合、「急激、または過激な変化があること」の意味で使われることが多いようですね。
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