「現時点」という言葉をご存知でしょうか。日常生活を送るうえで、使う機会が多い方もいらっしゃるかと思います。物事の移り変わりについて表す際、便利な言葉です。ここでは「現時点」という言葉について、読み方や意味、正しい使い方と間違った使い方、英語や中国語での表現、関連する言葉などを、順々に紹介していきます。
目次
現時点の読み方
まず初めに、「現時点」の読み方を紹介します。「現時点」は「げんじてん」と読みます。「現」は「あらわ(す)」、「うつつ」と訓読みし、「時」は「とき」と訓読みし、「点」は「た(てる)」、「とも(る)」、「とぼ(す)、「つ(ける)」と訓読みします。成り立ちに関して、「現」は目と人、三つの玉の象形、「時」は太陽と手、芽生えの象形、「点」は「うらない」の意味を持つ「占」と、煙突や火事の象形を組み合わせた文字です。
現時点の意味について
次に「現時点」の意味を紹介します。「現時点」とは、今このとき、今現在のことです。「現時点」は「現」と「時点」、あるいは「現時」と「点」に分けられますが、「現」という字は、「目に見える形を持っている」、「この世界に存在している」という意味を持っています。一方で「時点」は「時間の流れの中の、一点や時期」という意味なので、それらを組み合わせた「現時点」は、「今見える、存在している、対象の一点や時期」を表します。
現時点の正しい使い方
次に「現時点」の正しい使い方を紹介します。「現時点」は今このときのことなので、正しく使うには、その対象と時間の概念が必要になります。とはいえ時間はどんな状況でも流れるので、重要な点は「今このときかどうか」です。「企画書について、現時点での進捗状況を伝えます」と使えば、「企画書について、今このときの進捗状況を伝えます」となり、正しいです。他には「彼女の現時点の様子」、「現時点ではまだ完成していない」という風に使います。
現時点の間違った使い方
次に「現時点」の間違った使い方を紹介します。対象の今このとき以外、つまり過去や未来を指す場合、使うのは間違いです。「現時点では―」や「現時点の話」は、あくまでも今このときを指します。「現時点の〇〇」や「〇〇の現時点」と文や言葉のうえでは使えても、過去や未来を指したい場合、異なる意味で伝わります。一方で「彼の過去の現時点」や「以前の現時点」と使えば、「過去、以前」と「今このとき」が矛盾するので、間違いになります。
現時点を使った例文
次に「現時点」という言葉を使い、会話形式での例文を二つほど紹介し、解説します。上述の通り「現時点」は「現」と「時点」、「現時」と「点」に分けられますが、「現時」は「現時点」の意味を内包しつつ、「現在の時代」という意味も持っています。「現時点」を使う状況で「現時」と使っても間違いにはなりませんが、「今このとき」を限定して指すのなら、「現時点」を使った方が、意味が適切に伝わります。
現時点の使い方【例文その①】
一つ目の例文は、研究員同士のやり取りです。
「貴方の研究のテーマは何ですか?」
「宇宙の成り立ちについてです」
「では宇宙は、どうやって作られたのでしょうか?」
「様々な説がありますが、現時点ではハッキリと分かりません。なので研究のし甲斐があります」
この場合、「今このときでは、ハッキリと分かりません」と言い換えられます。「現時」でも伝わりますが、「現時点」を使うことで、意味を「今このとき」に限定しています。
現時点の使い方【例文その②】
二つ目の例文は、教師と生徒のやり取りです。
「先週に出した課題は、どこまで進んでいますか?」
「現時点では、三ページまでです」
「ペースが遅めではありませんか?」
「たしかに現時点では遅く見えても仕方がありませんが、先週は忙しかったので。今週に入ってから、ペースは格段に上がっています」
当然ながら「現時点」を使う場合には、時間が関わります。たとえば海外など時差のある環境で時間を伝えるとき、「現時点」だけでは具体的な時間が伝わらないので、注意が必要です。
現時点は英語でなんて言うの?
「現時点」を表す英語には、「Current」、「at the moment」などがあります。まず「Current」は「現在の、最新の」という意味や、流れや動向の意味を持っています。物事の流動性を表す言葉です。次に「at the moment」の「moment」は、「瞬間に、そのときに」という意味です。たとえばそこに時間を表す「time」を加え、「at this moment in time」と使えば、「今そのときの時間、現時点で―」の意味になります。
現時点は中国語でなんて言うの?
「現時点」を表す中国語には、「现阶段」、「现在」、「此刻」などがあります。「现阶段」は「現段階」という意味を持っています。「现在」は過去や未来に対しての「今」です。「此刻」も「今」という意味を持っていますが、こちらはタイミングの意味合いが強いです。たとえば「行動するのなら今」の「今」は変動しますが、「行動するのなら今、〇時〇分」の「今」は固定です。前者はタイミングなので「此刻」、後者は時間なので「现在」と、概念が異なります。
現時点の類義語や関連語は?
「現時点」の類義語や関連語には、「今節」、「最近」、「近頃」などがあります。どれも時間、時期に関わる言葉です。「今節」とは「この頃」のことや、区切られた期間において、現在のことを表します。「最近」は対象の今だけではなく、近い過去も含める場合に用いられます。「近頃」と「最近」はほぼ同じ意味です。違いは表す時間の幅にあり、「最近になって新たな動物が発見された」は何十年に対しても使えますが、「近頃になって」では近い時間にしか使えません。
現時点の対義語は?
「現時点」の厳密な対義語はありませんが、「現在」に置き換えると、「過去」や「未来」が対義語に当たります。「過去」は過ぎ去った時間のことで、現在と比べて前、昔を指します。逆に「未来」はまだ訪れていない、未だに来ていない時間のことで、現在と比べて先を指します。タイムトラベルを題材とした何らかの作品などでは、頻繁に見聞きする言葉です。たとえば「タイムマシン」という空想上の機械は、「過去」や「未来」に行き来できます。
現時点を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「現時点」自体が複数の単語を組み合わせた熟語であり、「現時点」を使ったことわざはありませんが、時間に関係する有名なことわざとして、「時は金なり」があります。時間はお金と同じくらい貴重なので、無駄にしてはいけない、という意味です。他には「時に遭えば鼠も虎になる」は、時流に乗れば小さいものや弱いものでも、出世して権力を振るう、という意味です。機会の意味での時間なら、「時の氏神」という言葉があります。適切なタイミングで喧嘩の仲裁などをしてくれる人を、ありがたがって使う言葉です。
現時点にまつわるサイト
「現時点」にまつわるサイトを、二つ紹介します。
https://www.time-j.net/
https://www.ana.co.jp/
一つ目のサイトにはそれぞれの国の現在時刻が載っており、時差のある海外の時間を確認できます。海外の方と連絡を取るときなど、こちらは昼間でも向こうは深夜、という状況もあり得ます。迂闊に連絡を取ると、迷惑をかけるかもしれません。そういった時間の確認に便利なサイトです。
二つ目のサイトでは、飛行機の予約が出来ます。旅行などで予約する際、「現時点」では空席があっても、数分後は埋まっているかもしれません。確実に席を取るのなら、早めの予約が必要です。飛行機を利用する方にお勧めです。
現時点の意味や使い方についてのまとめ
「現時点」とは今現在、今このときのことです。前や昔、先を指すときに使うのは、間違いになります。「現時」は「現時点」の意味を含んでいますが、そちらは「今の時代」の意味もあるので、今このときと限定して使う場合、「現時点」が適切です。「現時点」には似たような意味を持つ言葉が沢山ありますが、しっかりと意味を理解すれば、上手く使い分けられるでしょう。
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