「発行」という言葉は、普段の生活の中でも耳にすることが多い言葉の1つです。しかし、同じ読み方の多い言葉なので正しく使えているの微妙になる時はないでしょうか。
ここでは「発行」という日本語にスポットを当てて、読み方や意味、正しい使い方、類義語などを掘り下げて紹介していきます。
英語や中国語でも紹介しますので、見てみてください。
目次
発行の読み方
最初は読み方についての説明になります。
「発行」の読み方は、そのまま「ハッコウ」と読みます。
「発」は「ハツ」や「ホツ」と読み、ハツでは「出発」や「発売」、ホツ「発起」などで使われます。読む時には「ツ」が小さい「ッ」となるのが特徴です。
そして「行」は、普段使いだと多いのが「く」を付けた「イク」でしょう。しかし、一文字だと「コウ」や「ギョウ」と読まれ、「行進」や「行商」などで使われます。珍しい読み方だと「クダリ」とも読み、文章中の1文を意味します。
発行の意味について
次に「発行」の意味についての説明です。
「発」は「出る」や「はじめて公表する」を意味し、「行」は「歩いていく」や「おこなう」を意味します。
なので、直接的に考えると「はじめての公表をおこなう」となります。
しかし、「発行」の意味を調べてみると、「新聞や図書、雑誌を印刷して世に出す」や、「入場券や紙幣、証明書を作って通用させる」とあります。
つまり、一般的な印刷物を世間に広める行為や、世間に認められた特定の印刷物を出す行為を意味します。
発行の正しい使い方
続いて「発行」の正しい使い方の説明です。
発行を使う時には、基本的に「印刷物」に対して使うことが正しい使い方となります。
なので、新聞や雑誌、漫画などのどこでも手に入る紙媒体や、意味を持つ紙である印鑑証明や車検証、領収書を印刷する行為に対して使います。
入場券や航空券などの時には「発券」という言葉が使われますが、「券を発行する」という意味を持つので間違った使い方ではありません。
ですので、発行でも発券でもどちらでも大丈夫です。
発行の間違った使い方
では「発行」の間違った使い方にはどんなものがあるのか。
基本的には印刷物に対して使われる言葉ですので、印刷物以外のものに対しては間違った使い方と言わざるを得ません。
最近では普及している新聞や漫画などの電子書籍類ですが、これらの媒体で「発行」を使うのは間違いです。
電子書籍類で使うのならば発行ではなく、「出版」が正しい言葉になります。
しかし、残念ながら紙媒体と電子書籍を分けて考えるのは面倒なこともあり、どちらでも発行を使っているのが現状です。
発行を使った例文
ここでは「発行」という言葉を使った例文を会話形式で2つほど紹介していきます。「発行」は一般的に使われている言葉の1つですので、普段の生活の中でも目や耳にすることも多いでしょう。とくに漫画や小説といった書籍関連で使われることの多い言葉です。実際の会話の中では、どんな時に使われているのかを見てみましょう。
発行の使い方【例文その①】
一つ目は友人同士での会話をご紹介します。
「今、すごい人気の〇〇って漫画があるじゃん?」
「うん」
「この前ニュースで見たんだけど、発行部数が3億を超えてるらしいよ」
「そんなに⁉︎すごい人気だな。今度、映画化されるらしいじゃん」
「そうそう。その話の中で紹介されてたから、俺もびっくりしたよ」
「じゃあ作者は相当儲かってるんだな」
「俺も印税生活したい」
この会話の中では漫画の「発行」部数が出てきます。漫画の人気度を表す指標の1つなので、ニュースで取り上げられることもあります。
発行の使い方【例文その②】
次の例文は車の販売店の営業マンとの会話をご紹介します。
「いらっしゃいませ、〇〇様。本日は車検の入庫でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「車検証はいつも通り、郵送してもらえますか?」
「実は、システムトラブルで車検証の発行が出来ないみたいなんです」
「車検証が発行されないんですか?」
「はい。ですので情報が入り次第、ご連絡させていただきます。」
こちらは、車検証という公的な書類を「発行」するという会話です。公的な書類でも発行が使われます。
発行は英語でなんて言うの?
「発行」を英語で表すと「Issue(イシュー)」や「publication(パブリケーション)」です。
「Issue」は、貨幣や証明書を発行する時の動詞として使われ「Issue a visa」で「ビザを発行する」となります。
「publication」は、名詞に使われ「The date of publication」で「発行年月日」です。
他にも「publish」で「書籍などを発行する」や「publisher」で「発行(出版)社」を意味します。
発行は中国語でなんて言うの?
「発行」を中国語で表すと「发行」で「ファーシン(fāxíng)」と読みます。他にも「發行」という書き方がされることもあり、読み方は同じです。
主に動詞として使われることが多く「発行する」や「発売する」・「封切りする」という意味を持ちます。
「发行量」で「発行部数」、「发行日期」で「発行日」となり、「发行书籍」で「書籍を発行する」となります。
他にも「发行影片」で「映画を封切りする」といった使い方もされます。
発行の類義語や関連語は?
ここでは、「発行」の類義語や関連語などを紹介していきます。
よく使われる類義語は「刊行」や「出版」「発券」などがあります。「刊行」や「出版」は主に漫画や雑誌などの書籍関連で使われることが多いので目にする機会も多いでしょう。どちらも発行と意味は同じですが、印刷物だけでなく電子書籍などでも使うことが出来ます。とくに「出版」は書籍などを発行して利益を得るビジネスという意味で使われることが多いです。なので「発行社」では無く「出版社」と呼ばれます。
発行の対義語は?
次に「発行」の対義語を紹介します。
「発行」の対義語は「回収」となります。回収は「回」が「マワリ」や「周辺」、「収」が「オサメル」を意味します。
発行が「印刷物を世に出す」という意味があるのに対し、回収は「手から離れたものを取り戻す」という意味を持ちます。
つまり、1つのところから世間に対して広めるというのが発行。世間に対して広まったものを、再び自らの元に収めるのが回収となります。
食料品などで異物が混入した恐れがあり「自主回収」しました。などのニュースで耳にすることも多いでしょう。
発行を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「発行」という言葉を使った慣用句や、ことわざはほとんどありません。「株式や債権を売り出す時の価格」を表す「発行価格」や、「出版物の責任者」を表す「発行者(人)」程度です。しかし、「発」という字に限れば多くの熟語やことわざが存在します。有名なところでは四字熟語の「一念発起」「百発百中」「丁々発止」「一触即発」などがあり、ことわざでは「発明は必要に迫られるからこそ生まれる」を意味する「必要は発明の母」というものがあります。
発行にまつわるサイト
ここでは「発行」に関係するサイトを2つ紹介します。
https://www.mangazenkan.com/ranking/books-circulation.html
1つ目は、「漫画全巻ドットコム」というサイトが提供している「漫画歴代発行部数ランキング」です。
これまでに発行された漫画の発行部数を年代問わずにランキング形式で発表しています。
2つ目は、「ビットマネジメント」というサイトが提供している「仮想通貨の時価総額ランキング」です。
最近では何かと耳にすることも多い仮想通貨のランキングが掲載されていて、発行枚数で並べ替えることが出来ます。
発行の意味や使い方についてのまとめ
「発行」という言葉を少し詳しく掘り下げてみました。
基本は印刷物に対して使われるとされている言葉ですが、多くの出版社で電子書籍化が進んでいるのが現状です。
なので電子書籍に対しても「発行」という言葉を使っても間違いではないと感じます。
また、株券なども電子化されていながらも「発行株式数」という言葉を使っています。
この先、辞典の内容が変わるのも時間の問題かもしれません。
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