仕事先での営業などの場面で使われたりする「正直ベースで申し上げますと……」などと言われたことはありませんでしょうか?
ビジネスの現場では、時に不思議な日本語とカタカナ語が存在することがあります。皆さんは、その意味をよく分かって会話されているでしょうか?イマイチよく分からず使用している人もいるかもしれません。そこで今回は「正直ベース」の使い方について一緒に考えてみましょう。
「正直ベース」が出てきた背景とは?
NHKのバラエティ番組「サラリーマンNEO」の番組の中で、「サラリーマン語講座」のコントの中で、「正直ベース」が取り上げられたことによって、社会人の中で広まりました。
また、同番組の吉田照幸監督者自身が、大手転職サイトdodaのインタビューなどの中で転職者へのアドバイスを話す場面で、「給料ベースでも、会社ベースでも、見栄ベースで考えても、プロデューサーになる方が「得」です。ただプロデューサーになっちゃうと管理職なので、もうディレクターはできない。……略」と○○ベースと当たり前のように使われていました。
この番組の役者が話す言葉には、○○ベースという言葉が多く使われて浸透していったのだろうと伺い知ることができますね。
「正直ベース」の意味するところとは?
「正直ベース」の意味を知るのに、まずは、ベースという意味を知っていますでしょうか?
○○ベースといろんなところで使われているこの「~ベース」とは、「~を基準に考える」という意味になります。つまり、賃金ベースや情報ベースなど「~を基礎(基準・土台)に」といった意味の「~ベース」に正直をのせた意味あいになるわけですね。
もともとは、社会人が仕事上で正直であることを基準に「……つまり、正直に言いますと……という本当のところとは?」というニュアンスで使ったりします。
また若い人は建前と本音がまだ未熟なところもあり、「実のところ・・・」「本当のところ・・・」といった自分の気持ちを正直に伝えたいというところから用いたりすることもあるようです。
価格交渉の「正直ベースで」の意味と使われ方とは?
「正直ベース」という言葉は、1番仕事で使われることが多いと思われる場面は、価格交渉の場面だろうと思われます。価格の交渉をしていくときに、利益ベースという綱引きで、双方の会社には、需要と供給の駆け引きがされることになります。
その中で、最後の最後で、「御社には参りました。もうこれが最後の価格になります。正直ベースで御社には申し上げますが、……この金額で決断して頂けますようお願いいたします。」などと、使い方によっては、相手の満足感を引き出すことも可能になります。
ただ、使い方によっては、相手を選ばず何でもかんでも使うと「じゃあ、何ですか?御社には、相手を見て、ウソベースの金額ってものもあるのですか?」もしくは「正直ベースって……ここまでごねないと、この金額は出てこないのですか?」などと、言葉尻だけをとらえて、逆に信用を落としかねないこともあるかもしれませんので、気をつけて使いたいものですね。
「正直ベース」を英語にするなら?
「正直ベース」は、正直とベースのミックスなので、英語ではズバリ一致するものはありません。
正直にいうと・・・という意味あいですので、正直の意味の英単語は「honestly、aboveboard、frankly、honestly、candidly」があり、「honestly」がしっくり合うのでは?と思われます。
もしくは、偽装なし「without dissimulation」dissimulationは、感情の偽装を意味しますので、withoutでそれがないという意味になります。
- 私の正直な意見
my honest opinion - 正直に言うと
to be honest - 正直にお伝えすると
If I may be frank…
「正直ベース」は使い方次第!
時に、「正直ベース」という言葉に漂う違和感を感じることがあろうことかと思われます。この言葉に含まれているのは「完全には正直には言わないけど、でも限りなく本音に近いところで言わせてもらいますよ」という、実に日本人的な裏の意味も含まれているのではないかと思われます。
きっとこの「正直ベース」という言葉は、仕事上だと、「ストレートに言いたくない(本音は言えないけれど……)」に使うのに適していると思われます。
その場の雰囲気で、「ちょっと言いにくいな」という場面がもしあるのであれば、こういった現代のビジネス用語で言いづらいことを、その場の雰囲気を笑いに変えるぐらいの言葉として使っていかれるといいですね!
コメントを残す