資格試験などでよく目にする「ファイナンシャルプランナー」ですが、実際にはどういう仕事をしているのかよく知らないという方もいらっしゃることでしょう。
今回は、未経験でもファイナンシャルプランナーに転職出来るのか?
基本的な事柄をお伝えいたします。
目次
ファイナンシャルプランナーとは?
「こんな家に住みたい」、「子供にはこんな教育をしてあげたい」、「老後はこんな生活がしてみたい」、など、人にはそれぞれかなえたい夢や目標があるものです。
そしてその実現には多かれ少なかれお金が必要です。
そんなそれぞれの夢を、お金、つまり資金という観点から、相談者と一緒に考え、サポートする役目を果たすのが「ファイナンシャルプランナー」です。
その為に、税や金融関係、不動産、保険、住宅ローン、教育の為の費用、年金など、幅広い知識をもって、それらの知識を総動員して、相談者の資金計画の立案、改善案の提案等を行います。
ファイナンシャルプランナーの仕事内容
ファイナンシャルプランナーは、相談者がどんな価値観をもっているか、どんなライフスタイルを望んでいるか、現在の経済環境はどうなのか、そういったことを踏まえ、あらゆる角度から現状を分析します。
そして、現時点での問題解決だけではなく、長期的な視点も踏まえて、適切なアドバイスや資産設計を行います。
場合によっては、銀行や証券の関係者、税理士など、各方面の専門家ともコラボレーションしながら、ファイナンシャル・プランニングを行うこともあります。
具体的には、次のような分野の相談に対応します。
家計管理
様々な事情で、日々の家計にやりくりに苦労して、なかなか上手くいかないので何とかしたいと思うご家庭は少なくありません。
そんなご家庭の家計の現況を分析し、経済的な側面から日々の暮らしの改善を提案したり、将来に蓄えを残すための具体案などを提案したりします。
教育資金
「ウチの家計で私立の学校に行かせてもだいじょうぶだろうか」
「子供が大学に入る頃までにどれくらいの蓄えが必要だろうか」
「やはり奨学金に頼らなければいけないだろうか」など、
教育のお金に関する悩みは尽きることがありません。
そんな不安を取り除くための現状分析、提案などを行います。
老後の生活
老後の生活は、ご自身の体調の変化や、ご夫婦であればどちらかが病気になったりすることも考えられるなど、様々な不安があります。
また、自立して生活できなくなった時には老人ホームへの入居なども検討しなければならない状況が生じるかも知れません。
そんな老後の生活をどのように設計するか、また希望するような生活を送る為の資金的な準備はどのようにしたら良いか、といったことについて検討をお手伝いします。
###住宅資金
大抵の人が家を買う時にお世話になる住宅ローン。しかし、住宅ローンは一度借りたら終わりではありません。借り換えることによってお得になったりするケースもあるのです。そんな住宅ローンの選択や、借り換え、繰り上げ返済の検討などを支援します。
保険
私たちの暮らしを支える保険。
しかし、一つ入り方を間違えてしまうと、日々の生活を圧迫するものになりかねません。
相談者それぞれが真に必要としている保障は何なのか、それに最適な保険はどれかなどを提案します。
相続・事業継承
ご家族が亡くなったりした際には、相続は避けて通れません。
また、亡くなられた方が何らかの事業をされていた場合には、事業継承の問題もあります。
ファイナンシャルプランナーは、一般の人があまり理解していない相続の仕組みを相談者に分かりやすく説明したり、相続税の計算等を行ったりします。
また、相続や事業継承に関するサポートも行います。
ファイナンシャルシャルプランナーで身につくスキル
これまで述べてきたように、ファイナンシャルプランナーの仕事は多岐に渡ります。
ファイナンシャルプランナーになれば、金融や資産運用等の幅広い知識が身に付き、経済的な側面からのアドバイスや提案力が高まります。
しかし、金融商品や不動産、保険といった知識はあくまでツールにすぎません。
それらのツールを駆使して、経済的な観点からにはなりますが、相談者が今後幸せになる為の道筋をつけてあげる、そういったマインドを根底に持っていることが必要でしょう。
ファイナンシャルシャルプランナーは未経験でも転職できる?
ここで、資格に関する基本的なことをおさらいしておきましょう。
まず、国家資格には2種類あります。
一つは、「名称独占資格」と言われているものです。
これは、その業務を行うこと自体には資格は必要ないものです。
但し、資格を取得した人のみが、その資格の呼称を利用することが出来ると言うものです。
具体的には、中小企業診断士などが該当します。
これに対し、もう一つは「業務独占資格」と言われるものです。
これは、法律上、その特定業務を行うことを、資格取得者のみが許可されている資格です。
具体的には、弁護士や医師が該当します。
一方、民間資格というのは、それぞれの民間の資格認定団体というものがあり、それぞれで基準を独自に設けて認可している資格となります。
ファイナンシャルプランナーの資格には、ファイナンシャル・プランニング技能士という国家資格があります。
また、CFP、AFPという資格があり、これは、日本ファイナンシャルプランナー協会が認めている民間資格です。
ファイナンシャル・プランニング技能士という資格は、先程の区分でいうと「名称独占資格」に該当します。
ということで、結論から言うと、「私はファイナンシャルプランナーをやっています」という分には、特に資格を取得している必要はありません。
名刺に「ファイナンシャルプランナー」と記載しても大丈夫です。
ただ、「ファイナンシャル・プランニング技能士です」「CFPの資格を持っています」「AFPの資格を持っています」という場合には、それぞれの資格を取得していることが必要なのです。
したがって、極論すればファイナンシャルプランナーになること自体は無資格でも、未経験でもなれます。
ただ、相談者の相談内容にしっかり対応するためには、幅広い知識を体系的に身につけている必要があります。
その意味では、実質的にはいずれかの資格を獲得していることが必要と言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナーに転職するためには
ここでは、それぞれの資格を取得するには、という観点でそれぞれの道筋をお伝えします。
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士は、相談者の資産状況に応じ、状況に適した貯蓄方法、投資のプラン等を提案します。
等級は、1級、2級、3級とわかれており、1級が、一番難易度が高くなります。
それぞれに、学科と実技試験があります。
学科試験のみ合格したという場合、その試験日の年度から数えて翌々年度末までは、学科免除で実技試験を受けることが出来ます。
AFP
AFP認定者になるには、いくつかのルートがあります。
もっとも基本的なルートは、「AFP認定研修」というものを修了したのち、「2級FP技能検定」に合格すると、AFP認定者となります。
ファイナンシャルプランナーの実務経験もない、全くの初学者の方であればこのルートとなります。
一方、2年以上のファイナンシャルプランナー実務経験がある方や、3級FP技能検定に合格している方であれば、2級FP技能検定をAFP認定研修の前に受講することや、2級FP技能検定とAFP認定研修を同時並行で進めることが出来ます。
CEP
CFP認定者になるにはいくつかのポイントがあります。
まず、AFP認定者である必要があります。
そして、CFP資格審査試験科目(「金融資産運用設計」、「不動産運用設計」、「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」、「リスクと保険」、「タックスプランニング」)に合格する必要があります。
CFP資格審査試験を全科目合格したのちには、「エントリー研修」を受講し、修了します。
また、通算で3年以上の実務経験が必要です。
これらの要件をクリアーし、必要書類を提出してはじめてCFP認定者になれます。
ファイナンシャルプランナーが向いている人
ここではファイナンシャルプランナーに「向いている人とはどのような人なのか」についてまとめて紹介します。
相談者と信頼関係を築くことが得意な人
これまで述べてきたとおり、ファイナンシャルプランナーの仕事は、かなり込み入った情報を相談者に話してもらわなければなりません。そういった込み入った情報を話してもらうためには、「この人に話しても大丈夫だ」、「この人ならきっと助けになってもらえる」といった、信頼感を相談者から得なければなりません。
相談者の意向を尊重できる人
相談者の悩みを解決していく上で、いくつかのセオリーがあります。
しかし、資金計画などの提案をする際には、相談者がこだわっていること、すなわち相談者の意向をくみ取った上で行うことが必要になります。
セオリーを基本線に、相談者の意向を尊重しながら柔軟に計画を検討出来る素養が必要でしょう。
数字に強い人
仕事の性質上、金額を計算したり、資金の先々の見通しを立てたりと、数字を扱うことが多くなります。
こうした業務に抵抗感なく取り組める人が向いていると言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナーに転職する上で気をつけること
先程も触れた通り、この仕事はプライベートに深くかかわる為、相談者の秘密を守ることが絶対条件となります。
この点に注意して仕事に取り組むことが必要でしょう。
まとめに
いかがでしたでしょうか。
ファイナンシャルプランナーの仕事が多岐に渡り、相談者の未来を支える、大変やりがいのある仕事であることが分かっていただけたのではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナーに転職するためには、試験合格を果たす必要があります。
決して易しい道ではありませんが、お金という観点から、人の人生をサポートするエキスパートになりたいという方は、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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