「下位」という言葉をご存知でしょうか。日常生活を送るうえで使う機会は少ないですが、新聞紙や雑誌、テレビ番組などでは、よく見聞きする言葉です。
ここでは「下位」という言葉について、意味や正しい使い方、間違った使い方、例文、英語や中国語ではどう表すのか、対義語や慣用句なども含めて、順番に紹介していきます。
目次
下位の読み方
まず初めに、「下位」の読み方から説明していきます。
「下位」は「かい」と読み、「下」は「した」、「もと」、「しも」、「くだ(る)」、「お(ろす)」、「さ(がる)」とも読み、種類が豊富です。
「位」は訓読みで「くらい」と読みます。成り立ちに関して、「下」は長い線と短い線を表しており、長い線の「下」に短い線を引く、という意味で「下」になりました。
「位」は「人」と「立」の組み合わせで、そのまま「人がどこかに立つ」という意味になります。
下位の意味について
次に「下位」の意味を説明していきます。「下位」とは、順位や地位においての低い位置のことです。
物理的な高低、距離の「低い位置」ではなく、何らかの枠組みの中、あくまでも順位や地位での「低い位置」になります。「低い位置」とは比較の結果なので、たとえばマラソン大会中の「下位グループ」と言えば、マラソン大会中、その時点で順位が低いグループになり、「今回のテストは下位だった」と言えば、テストを受けた人たちの中で、低い順位ということになります。
下位の正しい使い方
次に「下位」の正しい使い方を説明します。「下位」は何らかの枠組みの中、低い順位や地位のことなので、枠組みや比較の対象が必要です。
たとえば映画のランキングがあり、ランキングで下の方、低い順位に位置する映画に対し、「あの映画はランキングで下位だ」と使います。ランキングという枠組みの中、他の映画と比較して位置が低い、という意味になるので正しいです。
「日本は世界的に、労働生産率が下位だ」と使えば、世界という枠組みの中、国の単位で労働生産率を比較し、下の順位に当たる意味となり、正しい使い方になります。
下位の間違った使い方
次に「下位」の間違った使い方を説明します。比較する対象がなかったり、枠組みそのものがなかったり、違ったりしている場合、使うのは間違いです。
一本の映画を視聴して、何とも比べず「この映画はつまらない、下位だ」と言っても、意味が通じません。比べていない場合、順位のつけようがないからです。
他には野球選手とサッカー選手を比べ、競技を基準において、「サッカー選手は下位だ」と使うのは間違いです。野球とサッカーでは、競技という枠組みが異なるからです。
下位を使った例文
次に「下位」という言葉を使って、会話形式での例文を二つほど、紹介します。
あくまでも「下位」とは、その枠組みの中で比較した結果、低い位置にあることです。比較の対象が変わったり、枠組みが変われば、「下位」ではなくなる場合もあります。
比較の対象が多ければ多いほど、そもそもどこからが高く、どこからが低いのか、主観も関わってきます。
下位の使い方【例文その①】
一つ目の例文は、会社員同士の会話です。
「今回のプロジェクトは大型です。会社の命運を左右するでしょう。山田くん、任せましたよ」
「分かりました。しかし不安な面もあるので、その都度、相談したいです。相談する場合はいつも通り、役員の田中さんに言えばいいでしょうか?」
「田中さんは役員の中では下位なので、今回はもっと上の、佐藤さんに相談してください」
この場合は会社という枠組みの中、役員の立場を比較し、田中さんは低い位置なので、今回はもっと偉い人に相談してください、と解釈します。
下位の使い方【例文その②】
二つ目の例文は、スポーツ選手同士の会話です。
「お暇でしたら、同じ上位グループのプレイヤー同士、練習相手になってくれませんか?」
「すみません、今から用事があります。向こうに暇そうな方々が居たので、そちらに頼んでは如何でしょうか?」
「向こうの方々は下位グループなので、実力を鑑みるに、練習相手になりません」
この場合は競技という枠組みの中、実力を比較し、「低い位置の方々では、練習相手になりません」と言っています。
ニュアンスによっては嫌味とも取られかねないので、注意が必要です。
下位は英語でなんて言うの?
「下位」を表す英語には、「Low rank」や「Junior」などがあります。
「Low rank」に関しては、「Low」は「低い」の意味を持ち、「rank」は「順位を定める」という意味を持つので、組み合わせると「低い順位」、すなわち「下位」になります。「Junior」も「下位」なのですが、こちらは「後輩」や「年少の方」という意味合いになります。高校での三年生に対して、「下の位に位置する一学年」という場合に使います。なので日本語の「下位」の概念には、「Low rank」が近いです。
下位は中国語でなんて言うの?
「下位」を表す中国語には、「次于的地位」などがあります。
「次于的地位」の中で、「次于」は「〇〇の次」や、「〇〇に劣る」という意味です。「地位」の概念は日本語と同じで、そこに中国語での助詞である「的」が加わり、「地位で劣る」、つまり枠組みの中で比較し、低い位置にある、となります。ただしこちらは比較の対象が百人いて、一位に対して二位を指す場合にも用いられます。日本語の「下位」だと、百人の中の二位は「下位」と言えないので、若干ながらニュアンスが異なります。
下位の類義語や関連語は?
「下位」の類義語や関連語には、「劣等」、「三流」、「不良」などがあります。どれもあまりいい意味では使われない言葉です。
一方で、比較する対象ありきな言葉という点では、「下位」と共通しています。「劣等」は「普通の水準よりも、劣っていること」であり、「三流」は「何らかの分野において、程度の低いこと」という意味です。「劣等生」と言えば、主に学校などで、成績が劣っている人物を指して使います。「三流芸人」と言えば一般的に、売れていない芸人を指して使います。
下位の対義語は?
「下位」の対義語は、「上位」になります。高い順位や、地位のことです。
注意が必要な点は、「上位」は「枠組みの中で最も高い順位や地位」を含みますが、それだけを指す言葉ではない、ということです。たとえば一位が最も高い順位だとすれば、「上位」は一位を含みますが、一位以外にも使われます。最も高い、低い順位や地位のみを指すには、「最」をつけ、「最上位」や「最下位」と使います。ただし例外として、比べる対象が二つの場合は、「上位」で高い方のみを指します。二つでは「上位」と「下位」しかないので、明確に伝わります。
下位を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「下位」の慣用句には、「下位互換」や「下位概念」などがあります。
「下位互換」の「互換」とは、「取りかえが利く」の意味になるので、「下位互換」とは、性能では下位になるが、上位の物と取りかえが利く、という意味です。
たとえばパソコンの取りかえの利くパーツで、現在使っている物よりも高性能、すなわち上位の物が新発売されたとします。その場合、それぞれの性能を基準においたとき、「現在使っているパーツは、新発売のパーツの下位互換だ」となります。
下位にまつわるサイト
「下位」に関わるサイトを、二つほど紹介します。「下位」という言葉を調べると、何らかのランキングのサイトが多く見られます。
https://eiga.com/ranking/
https://www.clubdam.com/app/dam/ranking/total-daily.html
一つ目のサイトは、最新映画のランキングです。毎週更新され、国内映画の興行ランキング、全米映画の興行ランキング、注目作品のランキングなどが掲載されています。最新の映画や人気のある映画をチェックするには、便利なサイトです。
二つ目のサイトには、カラオケのランキングが掲載されています。デイリーから年間まで幅が広く、ジャンル別に分けられているので、非常に分かりやすいです。カラオケが好きな方にお勧めです。
下位の意味や使い方についてのまとめ
「下位」とは、順位や地位において、低い位置のことです。正しく使う際には枠組みや、比較する対象が必要になります。
比較の対象が多ければ多いほど、「高い」と「低い」の境界線が曖昧になるので、「上位」や「下位」の見解が、他人と食い違う場合も出るかもしれません。
ただ意味を満たしていれば正しいので、無闇に否定しないようにしましょう。最も低い順位や地位のみを指す言葉ではないので、そこは要注意です。
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