日本語に「究明」という言葉があります。一言でいうと、「道理や真理をつきつめて明らかにする」ことを指します。「究明する」という動詞の形で使われることもあります。ここではこの「究明」という言葉について、意味や正しい使い方、間違った使い方、熟語、ことわざなど、様々な視点で紹介、解説していきます。英語や中国語に訳した使い方も紹介します。
目次
究明の読み方
では初めに、「究明」の読み方から紹介していきます。「究」という漢字は音読みで「キュウ」と読み、訓読みだと「キワめる」と読みます。「明」という漢字は音読みで「メイ」、「ミョウ」、「ミン」と読み、訓読みだと「アキラか」、「アカルい」と読みます。この2つの漢字を両方とも音読みにしてつなげて読むと「究明」という言葉になります。「究明」は「キュウメイ」と読みます。「クメイ」とか「キュウミョウ」とは言いません。
究明の意味について
「究明」の意味ですが、「真理・真相などを徹底的に追究し、明らかにすること」という意味で使われる言葉です。一文字ずつ意味を考えると、「究」は「きわめること」、「それ以上先へは進めないほど物事を推し進めること」を指し、「明」はもともとは「あかるい」という意味ですが、ここでは元の意味から発展して「あきらかであること」「あきらかにすること」を指します。つまり漢字の意味をそのまま解釈すれば、「限界まで物事をあきらかにすること」という意味になります。
究明の正しい使い方
「究明」の正しい使い方と間違った使い方を紹介していきたいと思います。先述したように、「究明」は「限界まで物事をあきらかにすること」という意味なので、例えば「○○が究明された」という言葉が使えるのは、「疑いようのないレベルまで徹底的に調査されており、正確な事実や真相が確認できている」という場合に限られます。「究明する」というとなんかかっこいい言葉なのでつい使ってみたくなりますが、本来の意味からすればそう気軽に使える言葉でもないのです。
究明の間違った使い方
では「究明」の間違った使い方ですが、先述した言葉の意味から言って、「一応大枠での筋の通る説明はできたがまだ裏付けが十分でなかったり、調査の進んでいない部分があったり、説明できない謎が残っている」というような状態で、「究明された」という言葉を使ってはいけません。この場合には、「現在はいまだに真相の究明中である」、とかあるいは、「手を尽くして調査を行ったが、結局真相の究明は果たせなかった」というような使い方になります。
究明を使った例文
ここでは、「究明」という言葉を使った例文を会話形式でいくつか紹介したいと思います。「究明」という言葉が最もよく使われるのは、「学問の分野で真理が明らかにされた」場面か、「犯罪や事故の捜査で事件事故の真相や原因が明らかになった」場面であり、普通の人が「究明」と聞けば多分最初にこの意味を思い浮かべます。それ以外にも、例えば一部の宗教では「ただしいことを究明して悟ること」を目的として修業を行うようです。
究明の使い方【例文その①】
学校で友人同士の会話です。
「今朝のニュースみたか?」
「ああ、この学校の近くであった殺人事件のやつか?」
「あれ、こわいよな。犯人も動機も犯行の手口もまだわからないんだってな」
「警察にははやく事件の真相を究明して、犯人を逮捕してほしいよな」
「そうだな。犯人が捕まるまでは安心して外も出歩けないや」
この場合だと、「犯罪や事故の捜査で事件事故の真相や原因が明らかにする」という意味で「究明」という言葉を使っています。
究明の使い方【例文その②】
中学生同士の会話です。
「学校の勉強ってなんでつまらないんだろうな?」
「急にどうした?」
「いや、今思ったんだけどさ。例えば『どんな結果が出るかやってみなきゃわからない実験』とかだったら、すげえ面白そうじゃん。学校の理科の実験が面白くないのは、だいたいやる前から『正しい結果』が予想できちゃうからなんじゃねーかな?」
「『すでに究明されつくした分野』ってつまらなくなるのかな」
この会話では「学問の分野で真理が明らかにされる」という意味で「究明する」という言葉を使っています。
究明は英語でなんて言うの?
「究明」は英語にすると「investigation」と書き、「インヴェスティゲイション」と発音します。「究明する」という動詞は「investigate」と書いて「インヴェスティゲイト」と読みます。ほかにも「get to the bottom of ○○」で、「○○を究明する」という意味になります。「(事故などの)原因を究明する」と言いたい場合には「determine the cauce of ○○」、つまり直訳だと「○○の原因を決定する」という表現も可能です。
究明は中国語でなんて言うの?
「究明」は中国語では「根究」と書き、「ゲェンヂウ」と発音します。他にも「徹底的に」とか「限界まで」というようなニュアンスを強調した「追究到底」という言葉があり「チージュウダオティー」と読みます。中国語で「追根究底」と書くと、「根掘り葉掘り聞く」という意味になります。あまり一般的ではありませんが「追根究底」という四字熟語は日本語にも存在します。中国語にも「究明」という文字を書く熟語は存在しますが、その意味は日本語でいう「探検」に近いものになっているようです。
究明の類義語や関連語は?
「究明」の類義語は、「学問の分野で真理が明らかにされる」という意味を持つのものだと「研究」、「追究」、「解明」、「探求」などがあります。「犯罪や事故の捜査で事件事故の真相や原因が明らかにする」という意味のものでは「捜査」、「検証」、「考証」などがあります。ただしこれらの類義語のうち、「追究」、「捜査」、「検証」などには必ずしも「明らかにする」「明らかにした」という意味は含まれないので、注意が必要です。
究明の対義語は?
「究明」の対義語をいくつか紹介します。「究明」の意味は「徹底的に明らかにすること」なので、これの逆を、「事実が人にバレないように隠すこと」と解釈すると、対義語は「隠ぺい」とかになります。また、「究明」の逆の意味を「まだ明らかになっていないこと。良く分からないこと」と解釈すると、対義語は「五里霧中」とか「真相はやぶの中」になるものと思われます。「逆の意味」をどう解釈するかで対義語の意味が変化していきます。
究明を使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「究明」を使った熟語には、「事件などの全容を明らかにすること」を示す「真相究明」、「事故などの原因を明らかにすること」を示す「原因究明」があります。関連語としては、中国語訳のところで先述したように「究明すること」をさす「追根究底」という四字熟語が存在します。どの場合でも「究明」という言葉は「限界まで物事をあきらかにすること」という意味で用いられています。「究明」を使ったことわざは、調べた限りでは見つかりませんでした。
究明にまつわるサイト
ネットで「究明」と検索すると上の方には「究明」の辞書的な意味や、「究明」という言葉を含む例文を解説したサイトなどがヒットします。これらのサイトを2つ紹介します。文章を書くときなどに参考にしてください。
「究明」とは -コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E7%A9%B6%E6%98%8E-477385
「究明」という言葉の辞書的な解説です。
つう‐か〔‐クワ〕【究明】例文一覧
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/55477/example/m0u/
「究明」という言葉を含む例文の一覧です。
究明の意味や使い方についてのまとめ
ここまで「究明」という言葉を様々な角度から少し詳しく掘り下げてみました。新聞やニュースではたいてい「事件の真相や事故の原因をつきつめて明らかにする」という意味で使われています。「真理を究明する」というと格調の高い感じの文章になるので、いわゆる「カタい文章」を書きたい場合には「徹底的に明らかにする」という意味で使うと効果的です。
コメントを残す