人間にはさまざまな感情があり、良くも悪くもそれに働きかけることで、その後の行動を左右することができます。
犯罪だけでなく、身近な販促テクニックとしても広く利用されているマインドコントロール。
身近に潜む罠を回避するためにも、どんな場面や人に対して行われているのかをぜひ知っておきましょう。
ここでは、マインドコントロールが利用されるケースやかかりやすい人の特徴を紹介します。
目次
マインドコントロールの典型例
マインドコントロールは、犯罪の手法としてだけでなく、一般的に商品やサービスを売るための販売手法としても利用されています。
マインドコントロールに引っかからないためには、典型的な手口を知っておくといいでしょう。
ここでは、マインドコントロール術が利用されている典型例を紹介します。
専門家や著名人の名前を出す
多くの人は権威に弱いもの。
医師、弁護士などの先生と呼ばれる職業や、警察官、政治家など、世間的に立場が高いとされる人の意見に流されやすい生き物です。
権威性を利用したマインドコントロールは一般的に広く行われています。
例えば警察官を名乗った人物に対して個人情報を教えたり、自宅に上げてしまうなど犯罪被害に巻き込まれるのも一例。
警察官という存在自体を信じ切ってしまうため、普段持っている警戒心が一気に下がってしまうのです。
犯罪だけでなく、商品を売る際のテクニックの一つとして、悪意なく使われやすいのも権威性を利用したマインドコントロール。
「医師監修」「あの著名人も使っている!」などの文言に安心感を抱いて、本来のモノの価値以上に思えてしまうことがあるでしょう。
周りに流されるよう集団の力を使う
10人中9人がいいと判断したものに対して、自分だけが悪いと思ったとき、その意見に自信がもてないということがありますよね。
人は集団に流されやすい生き物ですし、集団の中にいることに安心感を持ちやすいと言われます。
この心理をついた例の一つが、高齢者向けに健康食品や高級布団などを売りつける悪徳商法。
熱気ある会場内に招待し、誰か一人が欲しいと言い出したら、次から次へと他の人も欲しいと言い出すようになります。
しかし、実は欲しいと言い出すのも詐欺集団の一員で、集団に流されやすい心理を利用して、自ら進んで買うように仕向けているのです。
同じようなもので、集客のために「サクラ」を使うことがあります。
例えば、飲食店の店先にアルバイトを雇って行列を作らせ、あたかも人気店のように見せかける効果が。
他には、CMや広告などで使われる「98%の利用者が満足」「当店の売れ筋商品」なども、集団心理を利用した販促テクニックです。
販促テクニックは詐欺とまでは言えませんが、こういった殺し文句にすぐ乗せられてしまう人は、いつか悪質な詐欺に引っかかる可能性があるでしょう。
悩みや不安を煽る
悩みや不安を突かれると、高額商品に手を出したり、悪質な宗教などを頼りたくなることがあります。
例えば浄水器の高額リースを狙った悪徳商法。
マンションの貯水タンクの中にカラスの死骸があるなど偽りの写真を見せ、不安感を煽って浄水器のリースを勧めるようなことがあります。
他にもインターネット上で販売されている商品や情報商材などは、ある特定の人の悩みにポイントを絞ったものが多いのですよ。
薄毛や肥満などのコンプレックスや借金などの悩みなど、誰にも相談できないことを抱えている人は、悩み系の情報商材に手を出してしまうことがよくあります。
低めのハードルから誘導する
マインドコントロールの手口として、警戒心を持たれないように最初はかなり低めのハードルを設定することがあります。
多いのは無料やサンプル配布など。
自分が損しないと思うものに対しては警戒心を抱きにくく、よく調べることなく気軽に手を出しやすいですよね。
無料のセミナーに参加したり、サンプルがもらえるからとよく分からない化粧品会社の販売会場に行った結果、そこは高額セミナーや商品に誘導するための入り口だったということはよくあるのです。
マインドコントロールにかかりやすい人の特徴
どんな人が悪質なマインドコントロールにかかってしまうのかを知ることで、自己防衛の手段の一つとすることができるでしょう。
ここでは、マインドコントロールにかかりやすい人の特徴を紹介します。
孤独や不安など精神的に弱っている状態の人
恋人と別れた直後、借金があって経済的に困っている人など、孤独や不安をもっているときには何かにすがりたくなります。
人の弱みにつけ込んで、うまく近づいてくるのがプロの詐欺や犯罪者集団。
精神的に落ち込んでいるときに優しくされたり、借金がすぐに返せる儲け話などの甘い誘惑を受けると、それが本当の優しさや希望だと勘違いしやすいものです。
弱っているときは、初めて会う人や初めて行く場所には特に注意すべき。
孤独や不安を感じる原因となった出来事の前後で、人間関係に変化がないかを整理して書き出すようにしましょう。
出来事の後に付き合いが始まったという人に対しては、適度な距離感を保ちつつ、何かの提案には乗らないことが大切です。
自分に絶対的な自信を持っている人
「自分はマインドコントロールにかかりにくい。」と絶対的な自信を持っている人ほど騙されます。
自分の考え方がすべて正しいと思っているため人の意見に聞く耳を持たず、視野が狭いため、一度かかったら解くことも難しいのです。
自分に自信があるということは、自分自身にマインドコントロールをかけている状態。
それができるということは、他人からのマインドコントロールも受けやすいということです。
限られたコミュニティの中で行動している人
犯罪に使われるマインドコントロールは、情報を遮断することによって視野を狭め、ある結論に導くことを目的としています。
いつも同じ人と付き合っていたり、同じコミュニティの中でだけ行動している人は、狭い範囲での価値観に傾きやすいもの。
間違いがあっても指摘してくれる外部の人がいないため、狙われたときには騙されやすくなります。
考えることが苦手な人
日頃から考えるクセがないという人も、マインドコントロールに引っかかる典型的な人。
頭を使って考えるのは非常に疲れる行為ですから、考えることを放棄して人の言うがままにしてしまうのです。
何かを勧められたら「そんなに言うなら。」と買ってしまう、誰かの陰口を鵜呑みにしてしまって、自分は何も迷惑を掛けられていないのに陰口の対象者を嫌ってしまうなど。
相手を信じ過ぎるのは優しさではなく、単に自分の頭を使うのが面倒なだけなのだと知りましょう。
睡眠不足の人
しっかり睡眠を取れなかった翌日にぼーっとしてしまうことがありませんか?
睡眠不足は、人の正常な判断能力を奪う最たるもの。
仕事でもミスをしやすいだけでなく、私生活にも悪い影響を与えます。
高額商品は夜中に買わない方がいいと言われますが、それも判断能力が低下しているから。
睡眠不足のときは詐欺にも合いやすいので、出歩かずにまず布団に入りましょう。
神秘的なことに魅力を感じやすい人
神秘的な事象を信じたり、占いが大好きだという人も、マインドコントロールにかかりやすいです。
「そういうこともあるよね。」と、どこか客観的に見て楽しむ程度であればいいのですが、何か辛いことが起きたときは要注意。
出来事の意味を神秘的なことに見い出そうとします。
苦労に対して「こうしたからこうなった。」と理由を無理やり探しだそうとし、「これさえあれば解決できる。」という思考に陥りやすい。
パワーストーンや置物などをどんなに高額であっても買ってしまう、宗教にもはまりやすくなります。
マインドコントロールにかかりやすい人は要注意!
マインドコントロールは、自分がかかりやすいと認識しておくことで、自身を客観視し、いざというときに冷静に対処することができるでしょう。
「自分は当てはまらないから大丈夫。」と思った人も危険です。
それはすでにマインドコントロールにかかりやすいことの証かもしれませんよ。
大切なのは、「どんな人でもマインドコントロールにかかることがある。」と知っておくこと。
身近にさまざまな罠が潜んでいることを理解して、視野を広くもちましょう。
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