「喪明け」という言葉、誰もが一度は耳にしたことがありますよね。
でも、近しい人、それも家族が亡くなった経験が無い方にとっては、縁遠い言葉なのではないでしょうか。
そんな「喪明け」について、いざという時に困らないように、どんな意味でどんな使われ方をしている言葉なのかを、例などを挙げながらわかりやすくご案内いたします。
目次
喪明けの読み方
一般的には「喪明け」と書いて「もあけ」と読みます。
丁寧に言えば「喪が明ける」となるところを、短く表現しているわけですが、これはもしかしたら今時の略語言葉と同じように、昔の方が、言いやすいように短縮されたのかもしれませんね。
似たような言葉で「忌明け」という言葉もありますが、これも「忌が明ける」の略語言葉です。「忌明け」と「喪明け」はよく混同されがちですが、簡単に「忌明け」は49日、「喪明け」は1年と覚えておけば、間違いないでしょう。
喪明けの意味について
読み方でも軽く触れましたが、「喪明け」とは、丁寧に言えば「喪が明ける」ということで、喪に服する期間が明けるということです。喪に服する期間とは喪中のことで、一般に亡くなった時から1年間とされています。
喪に服する親族の範囲は、亡くなった方の家族(妻夫、親兄弟、祖父母、孫など)、二親等までとすることが多く、喪中の間は故人を偲び、行動に気をつけお祝い事を慎みます。喪中にひかえるべきことはいくつかありますが、代表的な例としては、年賀状や年始の挨拶があります。
喪明けの正しい使い方
「明日で、一周忌だ」
「そうか、喪明けになるのか」
「うん」
「永かったな」
「うん」
奥様の、一周忌法要を明日に控えた同僚との会話です。
「喪明け」は長い人生でもそう何度もあることではないので、正しく理解している人は意外と少ないものです。なので、上記のような受け答えがさりげなく出来るのは、なんとなく聡明なことのように思えます。
まだ寂しさや哀しみから抜けきれずにいる同僚によりそい、優しく思いやっている感情が上手に伝わるような気がします。
喪明けの間違った使い方
「俺、明日、喪が明けるんだ」
「えっ? 喪明けって、去年済んでるだろ?」
「はぁ?」
「いや、喪明けって、49日法要のことだろ?」
同じように、奥様の「喪明け」を告げるシーンなのですが、これは相手の同僚が、「喪明け」と「忌明け」を混同してしまっているんですよね。
でも、これはよくあることです。イラッとしてしまうかもしれませんが、ここはイライラを飲み込んで、優しく教えてあげましょう。こういった間違いをしてしまう方は、まだ身内の不幸を経験していない、幸せな方が多いはずです。悪気なんて微塵もありませんから。
喪明けを使った例文
「喪明け」という言葉は、一般的に「喪が明ける」と表現されることが多く、「一周忌の法要を済ませました」と言うだけで、「喪明け」と口にしなくても伝わります。なので、知らない人にとってはもちろん、経験者にとっても聞きなれない場合もある「もあけ」という音は、聞き取りにくいかもしれません。
でも、知識があれば、すんなり耳に入ってきます。
喪明けの使い方【例文その①】
「喪明け」そのものに暗い意味はありませんが、哀しいことの裏側に位置する言葉ですから、シチュエーションは暗くなりがちです。その点、ご容赦願います。
一週間後に結婚式を予定していた新婦の家族に、不幸があった際の会話です。
「喪明けっていつなの?」
「一周忌法要が済んだら、よ」
「じゃ、来年、だね」
「うん」
「だったら、一周忌法要が済んだら、盛大に披露宴しようね」
恋人に、こんなふうに言われたら、泣いてしまいそうですね。
肉親を失って、悲嘆に暮れている時は、明るい未来のことを言ってもらえるのは救われますよね。
喪明けの使い方【例文その②】
家族に不幸があって、久々に登校してきた友人との会話です。
「今年は、年賀状、出せないし、もらえないの」
「うん。喪中葉書、届いたよ」
「来年、喪明け過ぎには、綺麗な年賀状、出すからね」
「うん。私も。今から素敵な年賀状、考えちゃうね」
友達同志の年賀状のやりとりは、とても思い出に残る、楽しい行事のひとつでした。
でも、それが出来ない時、「可哀想に」なんて涙ぐまれるよりも、あっさりと受け答えしてもらえた方が、楽かもしれませんね。
喪明けは英語でなんて言うの?
「喪明け」を英語表記すると、「Google翻訳」では「Mourning dawn」となります。
「喪が明ける」という表記では「One’s period of mourning expires.」(斎藤和英大辞典)などいくつかあり、「喪が明けた」では「I am out of mourning.」(斎藤和英大辞典)となります。
「喪」そのものは、「Mourning」となり、「明け」の部分は「period」あるいは「out of ~」というように、「一区切り」や「~から外へ」といった表現になるようです。
喪明けは中国語でなんて言うの?
「喪明け」を中国語表記すると、「Google翻訳」では「莫宁黎明」となります。
「黎明」は夜明けを意味し、「宁」は「安らかであること」、「莫」が「無」を示します。
また、「喪が明ける」という表記では、「孝服已满」(共に白水社 中国語辞典)があります。
「满」という見慣れない漢字は、日本語の「満」と同じような意味合いで使用され、ここでは「已」と組み合わせることで、「満了」や「明ける」となります。そして「孝服」が「服喪期間」、いわゆる「喪中」を意味しますので、四文字繋げて「喪が明ける」となります。
喪明けの類義語や関連語は?
「喪明け」の類義語や関連語には、「忌明け」や「忌中」、「喪中」などがありますが、これはあくまでも類義語であって、同意語ではありません。
「忌明け」は「喪中」の中にあって、喪中の中でも「忌明け」までは、祝い事などへの参加は厳しく避け、故人を偲んで過ごします。そして「忌明け」の四十九日以降は、厳しい制限はなくなりますが、まだ喪中ですので行動やお祝い事を慎む状況は変わりなく続きます。
これに対して、「喪明け」は、喪に服する期間も終わりますので、「忌」でも「服喪」でもない通常の生活に戻ることになるのです。
喪明けの対義語は?
「喪明け」の対義語は「喪中」になります。
「喪明け」の後にして良いこととは、「喪中」にはしてはいけないことの裏返しです。ですから、「喪中」に避けるべきとされていたことが、「喪明け」後は出来るようになります。
例えば、年末年始に絡んで言えば、「喪中」は、年賀状や年始の挨拶はもちろん、正月飾りは飾れませんし、正月のお祝い料理も喪中は控えなければいけません。その上、初詣も遠慮しなければいけませんし、お祭にも参加できません。
でも、晴れて「喪明け」を迎えれば、それらすべてが、許されるのです。
喪明けを使った熟語や慣用句、ことわざはある?
「喪明け」には、「喪明けの祭り」という言葉があります。
こちらの意味「葬礼から吉祭に移る、変わり目の祭り。大祥は約3年目、小祥は1年目」(大字源)とあり、「小祥」は一周忌をさし、「大祥」が三周忌をさします。
亡くなった月の亡くなった日のことを「祥月命日」といい、「祥」にはめでたいという意味があり、儒教では亡親祭りの時に用いる漢字です。
一周忌を終えると喪の期間も終了し「喪が明ける」ことになるので、「祭り」と表現されるのかもしれません。
喪明けにまつわるサイト
「喪明け」についてのサイトは、思った以上にたくさんあって、目移りしてしまうのですが、「優しくわかりやすい」をモットーに選んでみました。
「https://memories-in-time.net/kichu-mochu/」
最初にご紹介するサイトは、「サルでもわかる葬儀の新常識」です。
「喪明け」の説明というよりは、「喪中」の説明が主なのですが、それら全てが終わるのが、「喪明け」ですので参考になります。表やグラフなどを使って、とてもわかりやすく、説明されています。
「https://www.gojyokuru.net/kankonsosai/knowledge/25.html」
次のサイトは「ごじょクル」さんの「「喪」が明けるまで」のページです。
こちらは文字だけなんですが、非常に短くまとめられていて、読みやすくなっています。また、ページ下段には「葬儀豆知識一覧」なるものもありますので、参考になるかと思われます。
喪明けの意味や使い方についてのまとめ
いかがだったでしょう?
以上が「喪明け」についての、成り立ちや意味、使い方のご紹介でした。
普段は使わない言葉ですし、使う状況には出来ればなりたくないと思いますよね。でも、人生の中で「喪明け」を経験せずにすむ人は、少ないのではないでしょうか。
美しい日本語の表現の一つでもある「喪明け」は、覚えていると、ちょっとした優越感を感じることが出来るかもしれません。
ぜひ、お役立て下さい。
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