業務として自社のお茶出し業務の対応をしたこと、または打ち合わせ等で会社訪問をした際にお茶出しの対応を受けたことが、社会人であれば誰しも一度はあるかと思います。
しかし、一体お茶出しにはどんな意味があるのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、どの企業にも存在している業務「お茶出し」の意味、そしてお茶出しを行うなかで知っておきたいポイントについてお話します。
目次
そもそもお茶出しってどんな仕事なの?
会社にお客様がいらっしゃった際には必ずお茶などの飲み物や、それらに合わせたお茶菓子をお出ししますよね。
この業務が「お茶出し」と呼ばれるものです。
現代においてお茶出し業務は庶務・総務スタッフや、来客対応を行う社員が自ら行う場合が多いかと思いますが、お茶を準備し相手にお出しするのは気を使いますし、やや手間に感じることも多いですよね。
では、なぜお茶出しという業務があるのでしょうか。
お茶出しは来客に一番最初に接する会社の顔!おもてなしの心を大切に
お客様にお出しするお茶には、「わざわざ御足労いただいたお客様の喉の渇きを癒してもらい、くつろぎ、ほっとしていただきたい」というおもてなしの心が込められているのです。
また、会議等の場でお客様の喉を潤していただき、ふとした際の気分転換をしていただくなどの意味合いもあります。
このようにお茶出しには相手への心遣いがたくさん込められており、それらの気持ちを持ち業務にあたることが大切なのです。
また、通常お茶出しの業務を行う担当者は応接室や会議室に通されたお客様に「一番最初に接する」ことになるかと思います。
一番最初に対応するスタッフの印象はそのまま、会社の印象へと繋がります。
お茶出し自体に心遣いが込められているとは言っても、対応しているスタッフの印象が悪ければ会社全体の印象が悪くなりかねません。
たかがお茶出し業務だと思わず、しっかり相手のことを気遣いお茶出しを行いましょう。
お茶出しはどんな人がやるの?
お茶出し業務を誰が行うのか、はっきりとした規定は無く企業ごとに違います。
基本的には庶務・総務などの担当者や、来客対応をするスタッフが行う場合がほとんどですが、だからと言ってその他のスタッフがお茶出しの方法を知らなくて良いわけではありません。
対応スタッフが休みだった場合や、急な来客など担当者で無くともお茶出しを行う必要がありますので、お茶出しの方法は必ず知っておきましょう。
ひと昔前まで実は女性メインの仕事だった?
前述のとおり近年、男女関係なくその立場にいる者がお茶出しを行っている企業が多いですが、一昔前までお茶出しはどの企業でも女性が行う業務の一つでした。
これは「お茶出しなどの雑務は女性が行うべき」という、まだ女性の社会進出が少なく社会的地位が低かった昔ながらの考えがあったこと、また「女性がお茶を出してくれた方が嬉しいから」「場の雰囲気が和むから」といった接待的な考えがあったためです。
しかし、近年女性軽視や男女平等といった言葉が謳われる中でそういった考えや制度は徐々に廃止されています。
そのため、男女関係なく立場に応じてお茶出しをする企業は年々増加しています。
新人研修の一環としてお茶出しをする会社も
また、近年では新人研修の一環として新入社員にお茶出し業務を任せる企業も増えています。
これはお茶出しなどの一般常識を身に付け、今後自身が会社訪問をする際に失礼の無いようにすると共に、お茶出しを通じてお客様と接する中で新入社員としていち早く顔を覚えてもらうという目的があるためです。
そのため、まだ会社や仕事に慣れていない新入社員は積極的にお茶出しを行い、お客様にいち早く覚えてもらえるよう努力しましょう。
美味しいお茶の淹れ方を知っておこう
さてここまでお茶出しをするうえでの心構えやその意味をご説明してきましたが、せっかくお茶を飲んでいただくのなら美味しいお茶を用意したいですよね。
そこで、覚えておきたい美味しいお茶の淹れ方をご説明します。
お茶出しの主流!美味しい日本茶の淹れ方
ここでは、一番お客様にお出しする機会の多い日本茶の淹れ方を流れに沿ってご説明します。
① 人数分の茶碗・茶托を準備し、茶碗と茶托を別々にお盆に乗せる。
打ち合わせに途中参加するスタッフが居ないかなど、人数は事前に担当者に確認しましょう。
② 全ての茶碗に沸騰したお湯を入れ、茶碗を温める。
③ 急須に人数分の茶葉を淹れ、茶碗に入れていたお湯を急須に移し1分間蒸らす。
④ 濃さが均一になるよう、全ての茶碗に急須からお茶を少しずつ注ぐ。
茶碗と茶托は必ず別々にお盆に乗せて下さい。
最初から茶托に茶碗を乗せていると底が蒸れますし、運んでいる間に茶托にお茶が零れてお客様が火傷する危険もあるためです。
以上の流れを覚えておけば、適温で香りが立つ日本茶をお出しすることができます。
お茶をもっと美味しく!美味しくするポイントとは
さらに、お客様に美味しいお茶を楽しいんでいただくにはお茶を淹れる際の温度に気を付けましょう。
来客時に用いられる煎茶の温度は70~90度が適温となります。
また、高級茶葉等を淹れる場合には適温よりもさらに低めの温度でたくさんの茶葉を使いゆっくりと抽出するのがポイントです。
いざ、お客様の元へ!お茶出しをしよう
美味しいお茶の準備ができたら、いよいよお客様の元へ向かいます。
ですが、ただお客様の前にお茶を置けば良いわけではありません。
お茶をお出しする時にも心遣いを忘れずに、お客様のことを第一に考えたお茶出しを行いましょう。
心に留めておきたい、お茶出しの注意点とは
お茶出しの際に何より気を付けたいのはお客様並びに打ち合わせ等の邪魔にならないよう、さりげなく業務をこなすことです。
お茶出しのタイミングによってはすでに担当者との会話が始まっている場合や、テーブルの上に書類が広がっている可能性もあります。
そういった場合にお客様の手を煩わせることなく、また会話を中断させることがないよう気を配りましょう。
注意点を意識して!お茶出しの手順をしっかり覚えよう
上記の注意点を意識しながらお客様にお茶を出す手順を確認しましょう。
なお、お茶をお出しする順番は来客側の上座(一番奥の席)からとなります。
① 入室の際にはドアをノックし、「失礼します。」と声をかけドアを開き会釈をして入室する。
② サイドテーブルに御盆を置き、お茶出しの準備をする。
サイドテーブルが無い場合はテーブルの端を利用します。
③ 御盆の上で茶碗を茶托の上に乗せる。
④ お客様の右側から「どうぞ。」と声をかけ、相手の右手側にお茶をお出しする。
⑤ 全てのお茶を出し終わったら御盆を持ち、ドアの前で一礼し退室する。
基本的な流れは上記となりますが、あくまで邪魔にならないことが大切です。
すでに会話が始まっている場合は「どうぞ。」と声を掛けるのを止め軽い会釈をする、逆に退出時に自社担当者がまだ来ていない場合には「もう少々お待ちください。」と声をかけるなど臨機応変に相手を気遣った行動をとりましょう。
コーヒー、紅茶など日本茶以外を出す際にも気を付けよう
日本茶の出し方はわかりましたが、それ以外の飲み物はどの様にお出しすれば良いのでしょう。
コースターを使う冷たい飲み物の場合はコースターとコップをそれぞれ手に持ち、コースターを先にテーブルに置きその上にコップを置きます。
コーヒーや紅茶の場合はソーサーに乗せた状態で両手でお出ししますが、その際にカップの取っ手が右手になるように注意しましょう。
また、お客様にお茶菓子をお出しする際にはお茶菓子をお客様の左側へ、手を拭くためのおしぼりは右側へお出しするとお客様にスムーズに召し上がっていただけます。
このようにお出しするものに応じた正しい対応を取れるよう気を付けましょう。
こんな時はどうしよう!?困ったときに覚えておきたいポイントは?
さて、お茶出しの流れがわかったと思いますが、いつも手順通りにお茶出しが出来るわけではありません。
お客様同士の距離が近く右側にお茶が出せない時には左側へ、卓上が書類でいっぱいでお茶を出すスペースが無い場合は自社担当者にどこにお茶を置けば良いか確認する等、状況に応じてあまり邪魔にならない範囲で臨機応変に対応するよう心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか。お茶出しは一見単純作業のように見えますが、細やかな気遣いや臨機応変な対応が必要となる重要な業務です。
ビジネスマナーをしっかりと守りお客様から見て気持ちの良い対応を行い、お客様に安らいでいただけるよう心がけながらお茶出しを行いましょう。
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