最近多い、ビジネス用語で使われる、○○ベースという言葉。~ベースというのは、~を基準に考えるという意味です。
しかし、その基準をゼロにするという「ゼロベース」という言葉の意味は、どういう時に使っているでしょうか? 今日は、~ベースの中でも「ゼロベース」の意味について考えてみましょう。
目次
「ゼロベース」の意味って知ってる?
「ゼロベース」とは先に伝えたとおり、今まで持っている前提知識や思い込みを一旦白紙、つまりゼロになって、何もない基礎(ベース)であることを意味している言葉になります。
「ゼロベース思考」とは?
ビジネスの中では、過去からの経験や、常識的な考え方では、問題解決しないことなども多く、最近では「ゼロベース思考」という物事を最初からやり直し、ゼロの状態から検討しなおして、問題に取り組む思考法が推奨されています。
世界でシリーズ750万部を超え、本国アメリカだけでも初版50万部という超異例の部数で刊行されて大きな話題となっている本のタイトル「0ベース思考」……どんな難問もシンプルに解決できるとして、著者の一人、スティーヴン・レヴィットは、ノーベル経済学賞の先行指標と言われる「ジョン・ベイツ・クラーク賞」を受賞している実力派経済学者です。
この方が提唱している思考法は、コンサル会社や多数の大手企業などに注目されています。
「ゼロベース思考」の具体例1:多くなると高くなる見積もり
具体的には、ソニーの創業者の盛田氏がまだ無名だったころ、アメリカへの営業に出かけて、トランジスタラジオの見積もりをとってきました。5千個、1万個、5万個、10万個で作成するよう言われたのです。
通常なら、10万個であるほど、安い見積もりを出せばいいのですが、当時のソニーの生産力では、もし10万個の受注が取れたとしたら、新たな設備投資が必要になる問題が発生することに彼は気が付いていたのです。
あなただったら、この「ゼロベース思考」で考えたとき、どんな見積もりを出しますか?
盛田氏は、5千個の場合は定価、1万個の場合は割引価格、5万個の場合は定価以上、10万個の場合は5万個よりさらに高い価格を提示したのです。
通常なら、10万個が1番高い値段、5千個が一番高い値段の見積もりになるわけですが、盛田氏は、設備投資をして工場を新設したとしても、来年以降5万個や10万個の取引が継続するかがわからなかったので、そのリスク料を上乗せした見積もりを出しました。
さらに、翌年以降に継続して大型取引が続くのであれば、翌年以降は大幅な割引に応じる、という条件提示を添えました。
こういう交渉条件を提示した結果、双方にメリットのある1万個の納入に落ち着いたというエピソードがあります。
「ゼロベース思考」の具体例2:貨物を使用するという発想
以前から首都圏を縦断する路線の需要は高いと言われています。しかしながら、山手線をはじめ様々な線路が走る区間では、ダイヤの割り込みが不可能に近く、実現は絶対無理だろうと言われていました。
ここで「ゼロベース思考」 の考え方で成功して出来たのが、関東圏の方なら馴染みのある方も多いJRの湘南新宿ラインなのです。栃木県、群馬県から神奈川県までをカバーするこの路線のお陰で実に便利になりました。
「ゼロベース思考」で発想されたアイデアは、通常路線という考え方を捨てたことです。そして、貨物路線に目を向けられ、普段は、貨物しか通らない貨物線路を人が乗る旅客列車に常用利用したことでした。
これにより、乗客には、便利さを提供するとともに、貨物であまり頻繁には使われない路線を有効活用することができたという双方のメリットが生まれました。「ゼロベース思考」での考え方だと、 これまでの慣習を捨て、貨物路線を日常的に運行しようとは思いつかないところに着眼したと言えますね。
「ゼロベース思考」を仕事に取り入れるには?
2つの具体例より、「ゼロベース思考」がどういう考え方で、仕事に取り入れた時に、どんなメリットが起こるのか?基本的なイメージは掴めたことと思います。では、「ゼロベース思考」を仕事に取り入れるにはどうすればいいのでしょうか?
「ゼロベース思考」による問題解決方法としては、まず最初に、問題を分析する際に、なぜこの問題が発生したのかを考えてみるということです。そして、その問題解決するためには、これまでの習慣や常識を疑ってみるということが次に必要になります。
もちろん、問題解決に当たっての明確な目標を設定することも必要になりますが、解決策を考えるにあたって、「現在の○○でなければ、どんな○○が良いか」と考えるとアイデアが生まれやすくなるでしょう。
「ゼロベース」を英語にするなら?
「ゼロベース」は英語では、「zero base」になります。
・ゼロベース思考で新規事業の企画をする。
We’re planning a new business with zero-base thinking.
・ゼロベース予算という,予算決定方式
a method of deciding the budget called {“zero based budget”}
「ゼロベース思考」が上手くいかない原因
「ゼロベース思考」を遮る原因としては2つあるようですね。
第一は、自らの地位・立場がある人は、白紙に戻すだけのエネルギーが必要になるということです。
第二は、過去の成功体験がある場合です。今までこれで出来たのだから、今度も同じ方法でできるはずだと! 現在の方法を変えるだけのエネルギーはかなり大変なことのようです。
逆に、こういった経験がない新人である社会人の方は、従来の枠組みに囚われず、発想が柔軟であり、有利であると言えなくもありませんね。
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